省燃費性能を高めながら走りの「余裕」も向上
今回の試乗は茨城県下の常磐自動車道を中心に行なった。試乗車は最量販モデルであるCG系4軸低床長尺カーゴの車両総重量25トン車。キャブはハイルーフ仕様で、日本フルハーフ製のドライウイングを架装したメーカー完成車「パーフェクト・クオン」だった。
パワートレーンは400PSと204kgmを発揮する改良型GH11TB2型エンジンにDD型12段のESCOT-VIと1.950のファイナルギアの組み合わせ。タイヤはオールシーズンの低転がり抵抗タイプ、ブリヂストン「エコピアM801II」を総輪に履く。
外観に意匠の変更は見られないが、2022年モデルから排出ガス後処理装置の仕様が一本化され、一回りコンパクトなユニットを用いていたCG系などはその他の車型と共用の大きな躯体を搭載。そのぶん車体右側のホイールベース間は床下スペースが狭くなった。このほかにも排気管カバー、燃料タンク、リアバンパーなど、床下機器の変更は多岐にわたる。
室内は艤装品に変更は見られないが、AMT仕様はECO+モードの追加に伴い、ステアリング左手側スポークにある操作スイッチとメータークラスター中央のディスプレイ表示部が変更された。エンジンを始動すると自動的にECO+モードが選択されるので、他のモードを選ぶためには始動のたびにスイッチを操作する必要がある。おのずと同モードで走行する機会が増えそうだ。
ECO+モードで走り出し、軽くアクセルを踏み込むと1300rpmぐらいでシフトアップされていく。試乗時の車両総重量は20トンと、まずまずの重さ。アクセルを深く踏み込んでも回転数は1600rpmぐらいまでに抑えられるが、AMTの変速時間が短いこともあって交通の流れに遅れを感じることはない。
GH11TB2の最高出力は400PS/1600rpmで現行型に対し10PSのアップだが、最大トルクは178kgmから204kgmへと大幅に引き上げられた。ECO+の変速制御は、このトルク特性を活かして、駆動力を確保しながら回転数を低く抑えることで、省燃費性能の向上を狙ったものだ。
全開加速ではアクセラレーションリミッタも効くのでフルパワーを体感するにはオフモードを選ぶ必要があるが、ECO+のまま部分負荷で走っていても低回転域での粘りやアクセル操作に対する応答性など、現行車よりも豊かなトルクは随所で感じられる。
最上段の12速に入る車速も現行車より低く(60km/h以下)、高速道路の勾配に対しても現行車より余裕とスムーズさが印象的だった。
●試乗車主要スペック
車両型式:2RG-CG5FAYWHPA
全長×全幅×全高:11980×2490×3790mm
ホイールベース:7520mm
車両重量:11120kg
最大積載量:13700kg
車両総重量:24930kg
エンジン型式:GH11TB2
排気量:10836cc
最高出力:400PS/1600rpm
最大トルク:204kgm/950〜1350rpm
変速機:ESCOT-VI(AT2612F)12段AMT
最終減速比:1.950
主ブレーキ:空気式・前後ディスク
燃料タンク容量:200+300=500L
タイヤサイズ:245/70R19.5(総輪)