■閑散としていた日本車メーカーブースに一抹の寂寥感も……
開催期間中、広州現地からモーターショーの速報を何度かお届けしてきたが、やはり最も肌で感じたのは日本車メーカーのブースに人があまりいないということだ。
もちろん、トヨタ系2社とホンダ系2社は前述のワールドプレミアモデルの出展以外に、出展面積や内容面などもかなり頑張っていた。レクサスもレクサス車以外に新型センチュリーを展示するなど存在感を示していたと思う。
ただ、日本メーカーのブースのなかには正直閑散としていたところもあったのだ。一方、その隣の中国メーカーのブースにはわんさか人が押しかけ、おなじみの若い女性ティックトッカーたちがズラリと並んでスマホで動画配信をしている。
マツダでは現地生産されるCX-50にPHEV仕様がワールドプレミアされ、ダンサーたちによるパフォーマンスがブースで展開されたのだが、見ている人の数はほかの中国車ブースよりも明らかに少なかった。
また、スバルは今回のショーにワールドプレミアモデル自体なし。スポーツモデルのBRZ STI Sportを中心にSUVのクロストレック、フォレスター、レガシィアウトバックなどが展示されていたが、そこそこの広さのあったブースなのに人が……いないのである。
折しも2023年3月から中国現地工場での稼働を停止していた三菱自動車は同年10月、正式に広汽三菱汽車を広汽汽車に譲渡して中国市場からの撤退を正式に表明している。現地メディアの人間からは、「日本メーカーで次に撤退するのはどこなのか?」といった話題も頻繁に持ち上がっているとも聞いた。
■EVを作るために内燃機関を持つPHEV仕様も生産され続けている?
これも現地メディアの人間から聞いた話だが、NEV普及へ急速に進展している中国だが、あまりに競争が激しいため、淘汰されているところも目立ってきているようだ。ちなみに中国政府からのNEV補助金はすでに終了しているのが現状。
日本でのBYDは現在、ATTO3にドルフィン、そして今後販売が予定されるSEALなどすべてがEVなのだが、中国国内のラインナップは前述の海洋シリーズ以外にもさまざまなブランドを持ち、さらにPHEV仕様も設定されている。つまり、中国国内でも完全に内燃機関の生産が終わったワケではない。
ジャパンモビリティショーではBYDのサブブランドであるDENZA D9のBEVが出展され、今後日本市場での販売が予定されているが、こちらも中国国内ではPHEV仕様が販売されている。
現地メディアの人間に聞いたところ、値引き競争にさらされ、利幅が薄いとされるEVを中国で生産するためには内燃機関を内包するPHEVを併売しないと成り立たないのだという指摘を受けた。
このあたりは急速にEVシフトへ突き進んでいる中国国内自動車事情の「光と影」を感じざるを得なかった。今後、BYD以外にも日本進出を狙う中国メーカーがあるとのことだったが、詳細がわかり次第、またレポートしたいと思う。
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