メーターデザインには、松田次生選手の助言も!!
今回の新型フェアレディZで採用された、12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイは、タコメーターを中心に置き、レッドゾーンを12時の位置に設定。エンジン回転計の針が12時を指すあたりで、シフトアップインジケーターが点滅、ドライバーにシフトアップを促すアクションが表示される。
このメーターデザインはなんと、日産のレーシングドライバーである松田次生選手の助言を元にしたメーターデザインが採用された、とのこと。
デジタル速度メーターをすぐ横の見やすい位置にレイアウトしたのは、「コーナーの脱出速度を毎回チェックするため」(松田選手コメント)とのこと。その他、湯温計や水温計のレイアウトも、レーシングドライバーで、クルマ好きである松田選手の助言を元に、田村宏志CPSが一発で「GO」サインを出したと言う。採用された松田選手も、非常にうれしそうにしていたことが印象的だった。ぜひ実物を見てみてほしい。
エンジンは、3.0リッターV6ツインターボのVR30DDTTが搭載される。最高出力405ps/6400rpm、最大トルク475Nm/1600-5600rpmのスペックは、日産スカイライン400Rに搭載されているエンジンと同じスペックだ。
ちなみに、従来型フェアレディZの3.7L V6 NAエンジンは、最大出力336ps、最大トルク365Nmなので、出力は+20%、トルクは+30%もパワーアップしたことになる。
トランスミッションは、6速MTとパドルシフト付き9速ATの2種類。クラッチディスクとギヤトレインを強化し、新設計のシンクロナイザーシステムの採用や、シフトプロファイルを変更している。
さらには、クラッチ操作でエンジン回転数を保持し、停止状態からの加速をアシストするローンチコントロールが、Proto specの6速MTと9速AT共に、標準搭載となる。ローンチコントロールは、日産の後輪駆動車としては、初めての採用だ。
一方で、いくつか気になる点も
ただ、発表となった日本仕様の「Proto Spec」の主要装備一覧をよく確認すると、気になる点がいくつか出てきた。
そのひとつが、インテリジェントクルーズコントロールは搭載されるものの、LKA(レーンキープアシスト)は設定自体がなく、LDW(車線逸脱警報)に留まる点。つまり、9速ATであってもプロパイロットが非搭載なのだ。
従来型フェアレディZのステアリングシステムを流用していることが理由であろうが(油圧パワステのため、電動アシストシステムが追加できないと推測)、2022年に出す日産のスポーツカーとしては、優先して入れるべきアイテムだったのでは、と思う。
新型BRZ/GR86では、AT車にはきちんとアイサイトを用意し、スポーツカーに先進支援技術を合わせる可能性を示した。「スポーツカーに、先進運転支援は不要」というのは、旧来の考え方だと筆者は思う。同じくV6ツインターボを積むスカイライン400Rでは、電動パワステを積んでいる。新型フェアレディZにも、年次改良でぜひとも搭載してほしい。
もうひとつが車両価格だ。3.0リッター直列6気筒ターボエンジンを積むGRスープラRZが税込731万円という世界感なので、240台限定のProto Specの税込696万6300円は「しょうがない」という空気になっているが、フェアレディZがこの価格でいいのだろうか。
通常モデルでは500万円後半になると思われるが、それでも、ギリギリ300万円台で購入できた従来型フェアレディZに対しては、100万円以上も高額となる。
昨今、クルマが高額になったのは、先進支援技術の搭載が主な原因だ。それらのアップデートが弱い、今回の新型フェアレディZが、なぜこれほどに高額になったのか。目標販売台数が少なすぎることが原因かもしれないが、初代Z開発の意気込みであった「誰でも買えるスポーツカー」でなくなってしまったことは、非常に残念だ。
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