17万人以上が来場したカスタムカーの祭典、東京オートサロン2023。イベントホールでは、国内最大級のeモータースポーツの競技大会、「JEGT GRAND PRIX」の最終戦が行われた。しかも大会の賞金総額はなんと国内最高額の500万円。白熱したレース展開となった最終戦の様子とその魅力をレポートする。
文、写真/成田颯一
■日本ではまだまだ発展途上のeスポーツの世界
今や世界の競技人口が1億人と言われているeスポーツ。視聴者の数は5億人超えと言われているが、日本国内では350万人程度と、まだまだ規模が小さく発展途上だ。
近年では、国体において、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」として正式競技として採用されていたり、スーパーGTやS耐などのリアルレースで、冨林勇佑を筆頭に、eモータースポーツ出身ドライバーの活躍を耳にする機会も増えてきた。
また、マツダがバーチャルからリアルレースへチャレンジする機会を与える、「チャレンジプログラム」といった取り組みを始めるなど、すでに自動車メーカーでも、参加やサポートを始めている。
今回、東京オートサロンで開催されているJEGTは、2020年から開催されているeモータースポーツの競技大会で、レースにはPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ7」を使用。昨年に引き続き、イベントステージでのオフライン開催となった。また、レースの様子はYouTubeでライブ配信が行われる。
JEGTには、企業対抗戦とトップリーグの2つがあるが、今回行われたのはこのうちのトップリーグで、2021年の10位以内で構成される上位チームによる戦いだ。
ドライバーは1チーム4名以上、8名以下で、1ラウンドに3名が出走。特筆すべき点としては、毎年、「JEGTドラフト会議」が行われ、その中の必ず1名以上を指名し登録しなければならないレギュレーションが設定されている点だ。
今回は全10チーム45名がエントリー。ドライバーは、eモータースポーツの世界大会、全国大会で活躍する名だたるトップドライバーばかりで、まさに最高峰のレース。
■オフライン開催ならではのドライバー交代シーン
今回のレースで使用されたサーキットは、富士スピードウェイ(4,563m)での24周。マシンは、ポルシェ 911RSR、MAZDA RX-VISION GT3 CONCEPT、日産 GT-R、ホンダ NSX、トヨタ GRスープラ、フォルクスワーゲン ビートルといったバーチャルならではのラインナップだ。
各ドライバーへは6周以上の走行消化義務、ミディアムタイヤ、ソフトタイヤ、ハードタイヤの全てのタイヤの使用義務と2回のピットイン義務が設けられている。
タイヤ摩耗は、ドライバーに分かるよう表示されており、タイヤ選択はレースにおける大きな鍵となってくる。また、イコールコンディションモードがoffとなり、なんと風向きの概念が追加。時間の経過で、風の向きが変わったりし、走行に影響が出るというので驚きだ。
そして、オフライン開催ならではの大きな特徴は、ドライバー交代がある点だ。交代については、厳密に手順やルールが定められており、違反するとペナルティ対象ともなる。選手たちは、わずかな時間をも削るため狭いステージ上をダッシュで移動。
ちなみにステージから転落した場合は失格となることもレギュレーションで定められているそうだ。
リアルレースの世界では、ピットイン作業でのアクシデントや、トラブルなどがレースの行方を左右したりすることも少ないが、この点、ピットレーンに入るとボタンを押し、マシンが止まるまでオートモードとなり触れることができない。
そして、ピットへの停止やタイヤ交換作業などは全てオートで行われる。ドライバーは停車後に交代し、次走者がタイヤを選択しタイヤ交換、燃料補給の操作を行いピットアウトとなる。
このドライバー交代では、ヘッドセットの交換などを行ったりもするため、想像しているより忙しい作業となる。ジャックに差し込む位置を確認したり、実際にドライバー交代の練習を決勝前に重ねるチームも少なくない。
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