新型が出たばかりの輸入車は、フルモデルチェンジしたばかりで、さすがに手が出ない。しかも、特にドイツ車は、デビューしてから1~2年は熟成されていないため、装備充実の先代モデルの最終型を買う輸入車通もいるほどだ。
なかには5ナンバーサイズの先代ポロやFRのBMW1シリーズといった、新型よりも旧型の方がよかったかもしれない……、というモデルも存在する。
そこで、2018~2019年にフルモデルチェンジ(以下FMC)を行った現行モデルの「先代モデル」にスポットを当て、値落ちの目立つ輸入中古車を選んでみた。
文/萩原文博
写真/ベストカー編集部 ベストカーWeb編集部
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6代目BMW3シリーズ:2012年1~2019年3月


まず紹介するのはBMW3シリーズセダン。ご存じのとおり、BMW3シリーズは欧州Dセグメントセダンのベンチマークとなるスポーティセダンだ。F30型と呼ばれる先代3シリーズは2012年1月(導入当初は328i)に日本市場に導入。
「デザインライン」というコンセプトを取り入れて、専用の外観と内装を組み合わせた4タイプを設定したのが特徴だ。
ボディサイズは全長4625×全幅1800×全高1440mmで、日本専用のドアハンドルを採用することにより全幅を1800mmに抑えて、立体駐車場に対応させている。
搭載するパワートレインは多彩で、2L、直4ターボ+8速ATをはじめ、アクティブハイブリッドと呼ばれる3L、直6ターボ+モーター+8速AT、2L、直4ディーゼルターボ+8速AT、そして2016年10月には1.5L、直3ターボ(318i)も追加された。駆動方式も2WD(FR)だけでなく、4WDも設定されているのが特徴だ。
現在、先代3シリーズセダンの中古車の流通台数は約990台で、3カ月前の約1150台から160台も減少している。
中古車の平均走行距離は3カ月前そして現在も約2.9万km付近を横這いで推移しているが、平均価格は3カ月前の約229万円から約217万円へと値落ちしている。
現在、先代3シリーズの中古車の価格帯は約79万~約527万円で、450万円以上のクルマの多くは走行距離が5000km程度のおろしたて中古車となっている。
一方、100万円以下のプライスを付けている中古車は約22台もあり、今後も増えていきそうだ。
先代3シリーズの中古車が流通しているグレード構成はディーゼル車の320d Mスポーツが約193台と最も多く、次いで、ガソリン車の320i Mスポーツとなっている。
そして3番目は320iラグジュアリーで、コストの安い軽油を使用燃料とする320dが圧倒的に多いかと思いきや、やはり走りにこだわる人が多いBMWらしくガソリン車の方が多く流通している。
2代目BMW1シリーズ:2011年9~2019年8月
続いては2019年8月にFMCが行われたBMW1シリーズだ。現行モデルは駆動方式がFF(前輪駆動)となったが、先代モデルはプレミアムコンパクトカーで唯一のFR(後輪駆動)の駆動方式を採用したモデルとして人気を集めた。2代目となる先代のBMW1シリーズは、2011年9月に日本市場に導入された。
外観や内装に異なるパーツを採用し、デザインで差別化を図る「デザインライン」コンセプトが導入され、1シリーズはベーシック、スタイル、スポーツという3タイプが各モデルに用意された。
搭載されているパワートレインはデビュー当初は1.6L、直4ガソリンターボエンジン+8速ATのみだったが3L、直6ターボも追加された。
2015年9月のマイナーチェンジで、主力エンジンは1.5L、直3ガソリンターボへ変更。さらに2016年5月には2L、直4ディーゼルターボ+8速ATが追加されるなど多彩なパワートレインとなっている。
外観上のポイントは、2011年9月に日本導入された個性的な顔の前期型と、2015年5月にフロントおよびリアのデザインが変更されたフェイスリフトモデル(BMWではライフ・サイクル・インパルス=LCIモデルと呼ぶ)にわかれる。
現在、先代1シリーズの中古車の流通台数は約850台で、3カ月前は約1020台だったので、170台も市場から姿を消した。中古車の平均走行距離は多少の上げ下げはあるものの、この3カ月の間は約2.4万km付近を横這いで推移している。
しかし、平均価格は年明けから約179万円をキープしていたが、コロナウイルス騒ぎが本格化した3月20日頃に一気に約171万円まで値落ちした。
先代1シリーズの中古車の価格帯は約50万~約490万円と非常に幅広い。350万円以上は走行距離の少ないM140iがズラッと並んでいる。
流通しているグレード構成を見てみると、3桁の流通台数を誇るグレードはなく、まんべんなく流通している印象だ。その中で最も多いのが、約75台の118d Mスポーツ。
やはりランニングコストの安いディーゼル車の人気は1シリーズでも高い。僅差の約71台で続くのが116i Mスポーツ。そして116iスタイルといった前期型のモデルとなっている。
3代目ジープラングラー:2007年3~2018年10月

2018年10月にFMCを行ったジープラングラーだ。SUVの元祖ともいえるジープブランドの中で日本市場において最も販売台数が多いのが、ルーツであるCJジープのDNAを受け継いだハードなイメージの強いラングラーとなっているのだ。
先代のラングラーは2007年3月に登場し、従来の2ドアモデルに加えて、アンリミテッドという4ドアモデルを追加。
2ドアのラングラーよりホイールベースを520mm延長し、大人3人が乗れる後席スペースと広いラゲージスペースを確保した。
デビュー当初、搭載されているパワートレインは3.8L、V6エンジン+4速AT(2ドア車のルビコンは6速MT)だったが、2012年1月に284ps/347Nmを発生する3.6L、V6エンジン+5速ATへと変更されている。
4WDシステムはロックトラック4×4システムを搭載し、前輪のストロークを28%増加させることで、荒れた路面でのタイヤの接地性能を最大限にアップさせる電子制御式フロントスウエイバーディスコネクティングシステムなどを搭載している。
現在、先代ジープラングラーの中古車の流通台数は約625台。3カ月前の時点が約500台だったので、右肩上がりで増加している。
中古車の平均走行距離は3カ月前が約3.2万kmで、今月が3.4kmと微増している一方で、平均価格は約352万円から約332万円へとわずか3カ月で30万円という大幅ダウンを記録し、今まさにオイシイ状況といえる。
先代ラングラーの中古車の価格帯は約119万~約798万円と幅広く、500万円以上のクルマはほとんどリフトアップしたカスタムカーとなっている。その一方で200万円以下の中古車は33台もあり、十分割安感も漂っている。
中古車の流通台数は、4ドア車アンリミテッドのエントリーグレードとなるスポーツが約250台と最も多く、同じアンリミテッドの上級グレードのサハラが約222台とやはり利便性の高い4ドア車が多く占めている。
次いで多いのが2ドア車のサハラとなっているが、特別仕様車を含めて4ドア車のアンリミテッドが主流となっている。
5代目VWポロ:2009年10~2018年3月

2018年3月にFMCを行ったVWポロ。先代モデルは2009年10月に日本市場に導入された。
ボディサイズは全長3995×全幅1685×全高1475mmで日本の5ナンバーサイズ枠に収まっているのが美点だ。
最小回転半径も4.9mと取り回ししやすく、日本の道路事情にマッチしたVWのベーシックモデルとして人気を博した。
当初は1.4L、直4自然吸気エンジンを搭載していたが、2010年に主力エンジンを新開発の1.2L、直4ターボというダウンサイジングターボエンジンへと変更。
7速DSGとの組み合わせにより燃費性能も20.0km/L(10・15モード燃費)を実現するなど、優れた燃費性能を発揮している。
2014年8月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更とともに、安全装備を充実させ、フロントアシストプラス、マルチコリジョンブレーキシステム、ドライバー疲労検知システムの3つの機能を全車に標準装備するなど商品力に磨きをかけた。
現在、先代ポロの中古車の流通台数は約880台。3カ月前の時点では約1050台も流通していたので、減少傾向となっている。
中古車の平均走行距離は3カ月前の約3.2万kmから、現在は約3.5万kmまで延びている。その結果、中古車の平均価格も約89万円から約83万円へと3カ月で6万円という大きな値落ちを示した。
先代ポロの中古車の価格帯は約19万~約250万円で、100万円以下のプライスを付けている中古車は約570台と非常に豊富。
諸費用を含めた乗り出し価格40万円でも2010年式のTSIコンフォートライン、走行距離4.2万kmという国産車より条件の良さそうな物件もたくさん見つかる。
中古車のグレード構成はTSIコンフォートラインが約190台、そして僅差の約185台でTSIコンフォートラインブルーモーションテクノロジーが続き、第3位に装備が充実したハイラインが約127台でハイラインとなっている。諸費用込み100万円以下で何か良いクルマがほしいという人にはピッタリだ。
ベンツCLAシューティングブレーク:2015年6~2019年8月

2019年8月にFMCを行ったメルセデスベンツCLAシューティングブレークもオイシイ状況を迎えている。
先代モデルとなる初代CLAシューティングブレークは、2015年6月に追加された。上級モデルCLSにも設定されているシューティングブレークは、後席の居住性とラゲージスペース容量を確保するため、ルーフラインをリアエンドまで緩やかな曲線を描くスタイルが特徴。
これにより後席のヘッドクリアランスや5人乗車時でも495Lというラゲージ容量を確保している。搭載されているパワートレインは1.6L、直4ガソリンターボ+7速AT、2L、直4ガソリンンターボ+7速ATで、駆動方式はFFと2L車には4マチックと呼ばれる4WDを採用している。
現在、先代のCLAシューティングブレークの中古車の流通台数は約270台。3カ月前の時点では約300台あったので、減少傾向となっている。
中古車の平均走行距離は3カ月前が約1.3万kmで、現在は約1.9万kmまで延びており、これにリンクして平均価格は3カ月前の約290万円から、現在は約262万円へとわずか3カ月で28万円も下がった。
現在の先代CLAシューティングブレークの中古車の価格帯は約130万~約430万円とまだ100万円以下の物件は出ていないものの、200万円以下の物件は約50台流通している。
CLA180が主流だが、レーダーセーフティパッケージが装着され、走行距離が2万km台とかなりお得感が高い。
グレード構成はCLA180スポーツが約98台と最も多く、CLA180AMGスタイル、CLA180と1.6Lターボ車が主流だ。メルセデスベンツのちょっとオシャレなステーションワゴンが200万円で手に入るのは驚きだ。
VWゴルフ7:2013年6月~

最後はすでにドイツ本国では新型のゴルフ8が発表されているVWゴルフ7をピックアップしたい。
2019年に待望の2Lディーゼルエンジンは日本市場に導入されたばかりだが、2020年の年末から2021年の春までには新型ゴルフ8が導入されそうだ。
2013年6月から販売開始された現行型ゴルフ。プラットフォームに「MQB」と呼ばれるアーキテクチャを採用し、高い走行性能や安全性を実現した。
さらにクラス最高の9つのエアバッグに加えて、ミリ波レーダーを採用したプリクラッシュブレーキシステム「フロントアシストプラス」を標準装備するなど5ドアハッチバックのベンチマークらしい高いポテンシャルを実現した。
搭載されるパワートレインはダウンサイジングターボとなる1.2L、直4ターボ+7速DSGをはじめ、1.4L、直4ターボ+7速DSG、スポーティグレードのGTIには2L、直4ターボ+6/7速DSG、トップグレードのRには最高出力310psを発生する2L、直4ターボ+7速DSGを搭載。
そのほか、ディーゼルエンジンをはじめ、プラグインハイブリッドのGTEやピュアEVのe-GOLFを設定するなど充実したラインナップとなっている。
現行型ゴルフの中古車の流通台数は約1250台と非常に豊富だが、3カ月前は約1350台だったので、100台減少している。
中古車の平均走行距離は、この3カ月の間約2万km付近をキープしているものの、平均価格は3カ月前の約195万から今月は約190万円へと値落ちしている。
現在、現行型ゴルフの中古車の価格帯は約47万~約510万円と非常に幅広く、400万円以上はフラッグシップモデルのR、もしくは限定車のGTI TCRとなっている。
一方100万円以下の中古車は約127台で、中古車の流通台数の約10%となっている。
流通しているグレード構成はTSIハイラインが最も多く、約310台、次いでTSIコンフォートラインの約250台。
そして、約136台でGTIとなっている。同じVWのポロと比較すると、車格が大きくなるゴルフでは装備の充実したハイラインが最も多く、スポーティモデルのGTIの流通台数が多くなるのが特徴だ。
今回紹介した6台のうち、世代交代をしていないゴルフの値落ちはまだ小幅だったが、そのほかのモデルは大きめの値落ちを示している。
コロナウイルスの影響で、今年の大需要期は大打撃だっただけに、今後の中古車相場がどのように動くのかは非常に気になるところだ。