2019年12月をもって国内生産を終了した日産ジューク。一方、2019年9月に欧州で発表された2代目ジュークは日本では発売されず、後継モデルとしてキックスが2020年6月30日に発売された。
生産終了から約1年が経過したが、ジュークの個性的なフロントマスクはいまだに色褪せておらず、コンパクトなサイズも魅力だ。
そしてなんといってもキックスにはないジュークの魅力として、4WDをはじめ、190psの1.6L、直4ターボの16GT、200psのジュークNISMO、214psのジュークNISMO RSといったスポーツモデルの充実が挙げられる。
そこで、ジュークの中古車価格は、キックスの登場によってどう変化したのか? 中古車事情に詳しいモータージャーナリストの萩原文博氏が解説する。
文/萩原文博
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 日産
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生産終了から1年、中古車価格はどう変化した?
「栄枯盛衰」。この言葉はクルマのモデルライフにピッタリ当てはまる。新車の時がピークでどんどんと人気が衰える。
もちろん例外の人気車もあるが、多くのクルマがこの言葉の通りのモデルライフを送り、フルモデルチェンジを行い世代交代する。
しかし大ヒットしたモデルにもかかわらず世代交代をすることなく終わったモデルがある。
それが日産ジュークだ。コンパクトSUVというマーケットのパイオニアは初代トヨタRAV4だと思うが、間違いなく現在のコンパクトSUVブームを築いたのは2010年6月に登場したジュークだった。
それはその後のホンダヴェゼルやマツダCX-3、トヨタC-HRそして2020年8月31日に発売したトヨタヤリスクロスという追従した車種を見れば一目瞭然。
もちろん日産もジュークの後継車として2020年6月にキックスを販売開始した。内燃機関オンリーだったジュークとは異なり、キックスはe-POWERのみとなり、スポーティモデルのNISMOを設定するという噂も聞こえてこない。
そこで、今回は生産終了から1年が経過したコンパクトSUVブームの立役者、日産ジュークの中古車事情を調べてみた。
生産終了から1年、どうしてこのタイミングなのかと思う人も多いだろう。生産終了直後だと車種によっては新車の在庫が未使用中古車として大量に流通することで、中古車相場は値上がり傾向となるケースがある。
事実、ジュークの中古車相場を見てみると1年前の2019年11月から2020年3月までは値上がり傾向となっている。
これは中古車最大の需要期に向けての価格上昇に加えて、かなり多くの未使用中古車が出回ったためだ。その証拠に2020年4月以降は値落ちに転じている。
さらに1年も経過すれば未使用中古車もほぼなくなり、リアルな中古車相場の姿が見えてくるのだ。
現在ジュークの中古車の流通台数は、3ヵ月前の2020年9月の時点では約1040台だったが、現在は約1300台まで増加している。
そして、流通している中古車の平均走行距離は3ヵ月前の約4.8万kmから約4.9万kmとわずかに延びているにもかかわらず、平均価格は約76万円だった3ヵ月前から現在は約80万円まで値上がりしているのだ。
ジュークの中古車の平均価格の推移を見てみても、2020年10月までは値落ちし、約75万円まで値落ちが進んだが、その後は値上がりに転じていることがわかった。
ジュークは2020年6月まで販売はされていたが、それは在庫車のみとなっていたので、販売終了より生産終了時のほうが未使用中古車は大量に出回ったのだ。
値上がりしている原因を突きとめるため、流通している中古車の年式による分布を見てみると、最も多いのが2011年の約263台、続いて2012年の約256台と続き、2016年までが約115台と3桁の流通台数となっている。
しかし2017年式~2020年までは40台以下となっており、高年式車が多いということではない。そうなると年式ではなく特定のグレードで値上がり傾向が起きているということになる。
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