本物のハコスカGT-Rが3000万円 これは高すぎる!
――値段……?
今井さん ハコスカやケンメリのGT-Rはご存じのとおり希少であるため、「そもそも手に入りにくい」というのがありますし、手に入るとしても、ぶっちゃけベラボーに高いんですよ。
――最近のGT-Rは「ASK(価格応談)」ばかりなので正確にはわかりませんが、だいたい2000万円ぐらいですよね?
今井さん いや2000万円では無理ですね。売価で3000万円ぐらいというのが、最近のおおむねの相場です。
――さ、さんぜんまんえん……って思わずひらがなになってしまいましたが、それは無理だ!
今井さん ですよね。もちろん、なかにはそれだけのご予算を投じてハコスカやケンメリのGT-Rを入手される方もいらっしゃいます。しかし3000万円というのは、普通はなかなか難しい金額です。そこで、「GT-Rじゃないスカイライン」に注目が集まるわけです。
――なるほど。最近は旧車ブームで「GT-RじゃないスカG」も十分高いですが、それでも3000万円は絶対にしないので、GT-Rの代替品としてGTとかGTXが求められている……ということですね?
今井さん それが「代替品」かどうかはさておき、おおむねの流れはおっしゃるとおりです。
普通のスカイラインで満足できるのか?
――そこで次に生じる疑問は、「でも本当はGT-Rが大好きな人が、GT-RではないSOHCのGTとかGTXで満足できるのか?」ということです。そのあたり、どうなんでしょう?
今井さん そこはですね、お客様それぞれの価値観というか「スカイラインに何を求めるのか?」で大きく変わってきます。
――といいますと?
今井さん というのは、例えば「とにかく何がなんでも本物のGT-Rを手に入れたい! それ以外は眼中にない!」という方は、DOHCのS20型エンジンを搭載したGT-Rをお探しになるしかありません。でも、そうではないお客様もたくさんいらっしゃるんですよ。
――「そうではない」というのは?
今井さん GT-Rはもちろん好きだし、憧れもあるけど、GT-Rうんぬん以前に「あの時代のキャブ車に乗りたい! あのダイレクトで生き物のようなフィーリングをまた堪能したい!」と考えるお客様です。そういった場合であれば、希少ゆえに高価すぎるS20エンジン搭載GT-Rにこだわる必要はない――ということですね。
――しかしですね、DOHCの名機S20と、言ってはなんですが「普通」でしかないL型SOHCエンジンでは、性能がぜんぜん違うじゃないですか? そのあたりは問題にしないのですか?
今井さん S20型エンジンが超ハイパフォーマンスだったのは確かです。でも、それは「1960年代または1970年代当時は超ハイパフォーマンスだった」という話であって、2021年現在の視点で見るならば、大差はないんです。「どちらも古い、でも楽しい、キャブレター式のエンジン」ということです。
――そうか……そういわれてみると、確かにそうですね。
今井さん もちろんクルマというのは「性能」だけを目当てに買ったり乗ったりするものではありませんし、旧車においては特にそうです。それゆえ、「性能うんぬんはどうでもいい。とにかく自分は“本物”が欲しいのだ!」と考える方もいらっしゃいます。
でも、そこ(S20型エンジンであること)にこだわりがないのであれば、しっかりレストアおよび整備されたL型エンジン搭載車でも、十分以上に楽しめるものなんですよ。
――ううむ、なるほど……。だいたい納得しましたが、それでも、超絶フルレストア済みとはいえ「GT-R仕様のハコスカで1200万円、同じくGT-R仕様のケンメリで1180万円」というのは、個人的には出しかねる金額です。
……もう少しお安く買うことはできないんですか? 私の場合は、別に見た目がGT-R仕様じゃなくてもぜんぜんOKなので……。
今井さん そうですねぇ、見た目ノーマルで、中身をきちんとレストアしたハコスカまたはケンメリですと……あくまで当社の場合ですが、700万円から800万円ほど頂戴できるのであれば、しっかりした状態まで仕上げた一台をお渡しできると思います。
――50年前の車を普段づかいできるぐらいにまで直すとすると、まぁそのぐらいの売価にはなりますよね。了解であります。というか、「GT-RじゃないスカG」の仕入れ相場も、やっぱりGT-Rみたいに上がっちゃってるんですか?
今井さん 残念ながら上がってますね~。頭の痛いところです。最近の相場は、ちょっと前の2倍じゃ利かないですからね。3倍4倍は当たり前、みたいな感じです。
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