■中古車市場では日本全国に11台が生存
そして今(2021年3月上旬)、日本で流通しているユーノスコスモの中古車は、『グーネット』および『カーセンサーnet』の掲載情報を整理したところによれば、合計11台。
……これを「少ない! やはり絶滅寸前か!」と取るか、「意外と現存してるな……」と取るべきかは微妙だが、個人的には「リッター1kmを記録した伝説の極悪燃費車としては健闘している!」と評したい。やはりデザインの力だろうか?
モデル全体の中古車相場は139万~388万円となっているが、具体的な価格はエンジンの種別によって2つの階層に分かれている。
すなわち13Bエンジン(1.3L、654cc×2の2ローター/230ps)搭載車の価格は139万~280万円で、20Bエンジン(2L、654cc×3ローター/280ps)搭載車は320万~388万円となっているのだ。
グレード別でいうと、20Bエンジン搭載車においては後期の特別仕様車「タイプSX」が高いという傾向があるが、13B搭載車では「タイプSXだから高い」という傾向はさほど見られない。
また走行距離も、「長めのものは安めで、短めのものは高めで」という基本的な傾向はあるものの、一概にはいえず、「走行10万kmを超えているが、300万円以上の高値が付いている20B搭載車」という中古車も存在している。
まあこういった古い年式の中古車の常として「価格は走行距離やグレードではなく『どれだけ愛されてきたか』で決まる」という状態になっているわけだ。
そして、何をもって「典型的」とするかは微妙なところだが、それでも無理やり「ユーノスコスモの典型的な中古車像」を描くとしたら、それはおおむね下記のニュアンスとなるはずだ。
【13Bエンジン搭載車】
1993年式ユーノスコスモ タイプSX
価格=190万円ぐらい/走行=7万kmぐらい/修復歴なし
【20Bエンジン搭載車】
1992年式ユーノスコスモ タイプSX
価格=380万円ぐらい/走行4万kmぐらい/修復歴なし
■今ユーノスコスモは買いといえるのか?
……これは果たして「買い」なのだろうか?
3ローターの20Bエンジン搭載車は当然ながら超極悪燃費であり、2ローターの13B搭載車だって決して良くはない(というか極悪に近い)。
そんなクルマを今、このエココンシャスな時代にあえて買う意味はあるのかと問われれば、「基本的にはないでしょう」と答えるほかない。
3km先のイオンまで乗っていくだけで2Lのガソリンを消費し、往復で4L、つまり約150円×4Lで約600円が消えてなくなってしまうクルマに庶民が乗り、フツーに使っていたら、遅かれ早かれ家計は破綻する。まったくもっておすすめできない選択肢である。
しかし、まさかユーノスコスモを「毎日の買い出し」に使いたいと思っている人などいないはず(ごく一部にいるかもしれないが……)。ほとんどの人はある種の芸術品として、有形文化財として、ユーノスコスモに接するはずなのだ。
そして普段はガレージで「オレの(もう1台の)クルマ、本当にカッコいいよな……」と笑みを漏らしながら眺め、ごくたまにどこかまで乗っていき、「もう燃料計の針が半分以下になっちゃったよ!」とかなんとかうれしそうに苦笑しながら、ハイオクガソリンを入れるのだ。
ユーノスコスモは、お金と気持ちに余裕がある人が「そういった使い方(接し方)」をするには激しく向いているクルマである。
そしてクルマではなく有形文化財として見るならば、「低走行な20Bの後期型で380万円ぐらい」というのはむしろ安い……とまでは言わないが、「法外に高いわけではない」とも思うのである。
■ユーノスコスモ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4815×1795×1305mm
・ホイールベース:2750mm
・車重:1640kg
・エンジン:直列3ローター ツインターボ、1962cc
・最高出力:280ps/6500rpm
・最大トルク:41.0kgm/3000rpm
・燃費:6.1km/L(10モード)
・価格:530万円(1990年式20 B タイプE CCS)
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