良くも悪くも「伝説の一台」といえるのが、ユーノスコスモというクルマだろう。良い意味での伝説は、そのデザインだ。
……これほどまでに美しい大型2ドアクーペはもう二度と出てこないはずというか、2021年の今発売しても(デザインにおいては)圧倒的な存在感を発揮するだろうというか、「世界一美しいクーペは初代BMW6シリーズとよく言われるけど、そっちじゃなくてコレでしょうが! 」と言いたくなるというか。
とにかく素晴らしいカタチをしたクルマである。
そして悪いほうの伝説は「燃費」についてだ。V型12気筒エンジン並みの滑らかさを目指して開発された、市販車では世界初となった「3ローター式」の20B-REW型エンジンは、たしかにV12並みに滑らかではある。だがその実燃費も古いV型12気筒並みで、基本的には3km/Lほどしか走らない。
場合によっては飛ばしすぎると「リッター1kmぐらいしか走りません!」ということもしばしばあって、ある種の伝説となってしまったのだ。
そして1996年の「ユーノスチャネル瓦解」に伴い、新車としてのユーノスコスモは販売終了となったわけだが、その中古車は今もなお、その気になれば手に入れることはできるのか? 中古車事情に詳しい伊達軍曹が解説する。
文/伊達軍曹、写真/マツダ
【画像ギャラリー】今でも十分通用しそうなユーノスコスモの内外装をチェック!
■伝説の3ロータリーの20Bは生き残っているのか?
そんな伝説のクルマ「ユーノスコスモ」の中古車は今、いくらぐらいでどんなモノが売られているのだろうか?
まず、ユーノスコスモというクルマの概要を、超ざっくりとおさらいしておこう。ユーノスコスモが発売されたのは1990年4月のこと。マツダが当時展開していた「ユーノス」チャネルのフラッグシップに相当する2ドアクーペで、「ロータリーエンジン専用車」でもあった。
搭載されたエンジンは最高出力230psの1.3L(654㏄×2)、2ローター「13B-REW」のほか、良くも悪くも伝説となった世界初の市販車用3ローターエンジン「20B-REW(654cc×3)」を用意。
この20Bはそもそも最高出力333psで設計されていたが、当時の運輸省から横やりが入ったことで、280psの国内自主規制値(当時)にデチューンしたうえで発売されたという逸話を持つ。
トランスミッションは全車4速ATで、グレードはタイプE CCS(世界初のCCSというGPSカーナビを標準装備した20B搭載車)とタイプE、タイプS(前期・中期型)、タイプSX(後期型のみ。ハードなサスやBBSホイールなどを装着した特別仕様車)。
そして1995年8月に生産終了となり、翌1996年6月には販売も終了した……というのが、ユーノスコスモの大まかなヒストリーだ。
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