現在、アップルカーの生産をどこで作るのか、憶測が広がっている。日本の自動車メーカーが受けるのではないかという話も出ており、メディアを賑わせている。
そもそもこのアップルカーとは何か? どのような計画なのか? そして、アップルカーは成功するのか? モータージャーナリストの国沢光宏が解説する。
文/国沢光宏
写真/jpgon@Adobe Stock、Chinnapong@Adobe Stock、naka@Adobe Stock
【画像ギャラリー】アップルカーよりこっちが本命!?ソニーのEV ビジョンSの完成度に驚愕!
■アップルカーを日本の自動車メーカーが生産するという噂
アップルカーの生産を日本の自動車メーカーが受けるんじゃないか、というウワサはいまだ収束していない。例えばマツダ。1月29日の株価を見ると744円。直後に2020年10~12月の決算発表を行ったけれど、決して「良い」とか「明るい」みたいな数字に遠い。
なのに「アップルカーの生産委託を受けるのでは?」というウワサでストップ高!
2月6日に966円と一気に222円も高騰した。いまだにマツダへ生産委託するという予測は消えておらず、3月2日時点でも870円を付けてます。同じく三菱自動車も1月29日の237円から急騰。以後高値続きになっていて3月2日で307円という状況。日産は100円ほど上がったけれど、現在は噂が出る前の株価に戻った。
そもそも「アップルカー」とはなにか? 発端はアップルの創始者であるクルマ好きのスティーブ・ジョブスが立ち上げた「タイタン」という自動運転プロジェクトにある。
当時、グーグルやウーバーなど自動運転に注力していたのだった。アップルは2016年に「5年後に発売したい」とブチ上げたものの、その後、タイタンに目立った動きなし。
スティーブ・ジョブス亡き後、プロジェクトは自然解散したのかと思っていたら、突如昨年あたりから「クルマを作る」という話になる。
かといってゼロから自動車メーカーを起こすことなど不可能に近い。テスラだって技術者は自動車メーカーから集め、トヨタからタダみたいな価格で譲ってもらった半分居抜きの工場で生産を開始した。
今ならもっと良い条件で自動車メーカーと協業できる可能性大。ウワサに上がっているマツダや三菱自動車を見ればわかる通り、赤字経営の上、今後も明るい材料なし。
そもそもマツダなどカーボンフリーを否定してきたため、いまだに燃費悪い直列6気筒をホンキで売ろうとしてます。誰かが助けなければ厳しい状況になること間違いなし。
もしアップルがマツダにアップルカーの生産を委託したなら、工場稼働率はイッキに上がる。しかも自社のプロジェクトじゃないため、赤字を考える必要なし! そもそも赤字前提の契約など受けなければいいだけですから。
工場の稼働率あがったり、生産規模が大きくなると、マツダ車の生産コストも下げられるというメリットだってある。
といった状況、三菱自動車にとっても同じ。アップルカーの生産依頼が入ったら、工場稼働率は確実に上がる。
それだけじゃありません。生産の前に開発だって必要。アップルの関連企業、テストコースや試験装置など持っていないため、三菱自動車が有償で貸し出すことになります。そういった経費の収入だって少なくないと思われる。
コメント
コメントの使い方