NSXタイプは後期型が4000万円、リトラクタブルの92Rが最高3000万円中盤!
――ううむ、そうでしたか……。そして「ASK」表示ばかりのNSX-R(NSXタイプR)って今、ぶっちゃけいくらぐらいなんですか?
市川さん 弊社ではここ最近「R」を扱っていないのですが――というのも、モノがほとんど出てこないんですよ。持ってらっしゃる方はほとんど手放しませんからね。とはいえ、市況から判断しますと、02R(固定式ヘッドライトになった後期型NSX-R)が約4000万円、92R(リトラクタブルヘッドライトのNSX タイプR)が2000万円台後半から3000万円台中盤ぐらい――といったところでしょう。
――やはり高いですね……。この高値の背景には、やっぱりアメリカの「25年ルール」があるんですか?
市川さん いや、アメリカで25年ルールが適用される前から、初代NSXの相場は上がっていましたね。弊社にもアメリカだけでなくカナダやインドネシア、ドバイ、ブルネイなど、さまざまな国から問い合わせが入っていますしね。
――ブルネイって、たしかマレーシアの隣あたりにある小国でしたっけ? あそこでも初代NSXが人気なんですか!
市川さん ブルネイでは近年、NSXのオーナーズクラブが発足したようで、盛り上がってるみたいですよ。例えばブルネイで初代NSXを輸入して購入されるような方は、おそらく最新世代のさまざまなハイパフォーマンスカーを買うこともできると思うんです。
――ですよね、たぶん。
市川さん しかし昨今の電子仕掛けの、誰が乗っても簡単に速く走れてしまう車ではなく、「自分の腕前」が試されるようなクルマ、たとえば初代NSXのようなクルマに、やはり世界中のクルマ好きは憧れるのでしょうね。
――確かにそうですよね。「贅を極めようとすれば、何事もアナログに行き着く」と言いましょうか。……初代NSXの相場は、今後もずっと上がりっぱなしなんですかね?
市川さん いや、そんなこともないと思いますよ。仮に今がピークだとしたら、その後は若干下がる可能性も大いにあるはずです。
――なんと! であるならば、私が初代NSXを買える日がくるかも!
市川さん しかしですね……下がると、次はたいていまた上がっちゃうんですよね。
――へ?
市川さん 下がれば、「じゃあ、買おうか」と考える人がたくさん出てくるじゃないですか? なにせ「欲しい」と思っている人は世界中にたくさんいるクルマですから。
――あ、そうか。そのあたりは株や為替なんかの相場と同じなわけですね。下がったところで「押し目買い」をする人が多いから、結局、チャートは波形を描きながら上を目指すという……。
市川さん そういうことなのだと思います。そして時間がたてばどうしても個体数は減っていきますし、今所有されている人のうち7割から8割ほどの方は、絶対に手放しませんからね。
そうなると「欲しがる人は多いのに供給量は少ない」ということで、市場原理に基づいて平均価格は必然的に上がっていく可能性が高いと考えられます。
NSXのメンテナンスで気を付けることは?
――ううむ、やはりそうですか……。まぁ相場のことは今さら個人の力ではどうにもならないので、一瞬脇に置いておくとして、購入後のメンテナンスはどうなんでしょうか? やはりスーパーカーですから、維持費はかなり高いし、何かと神経も使うと思っておいたほうがいいですか?
市川さん や、そんなこともないですよ。イタリアンスーパーカーなどと違って要するに「国産車」ですから、きちんとメンテナンスされた個体でさえあれば、「維持がかなり大変」ということも決してない車です。
――なるほど、「楽勝」ということですね?
市川さん いや、「楽勝」というのはさすがにないですよ(笑)。初期型でいうともう30年たってるクルマですからね、個体差が大きいんです。
ろくにメンテナンスされないままここまできた個体ですと、まずはエアコンが壊れて30万円、ABSユニットが逝って25万円、タイミングベルト関係を交換して20万円台の前半……ぐらいの修理代がイッキにかかる可能性も大です。
――なるほど……。まぁ30年選手ともなると、NSXに限った話ではなく、そういった部品は一度ならずとも交換されていてしかるべきですし、交換されてなければ、そりゃ壊れますよね……。
市川さん 弊社の場合でいいますと、入庫したNSXに保証を付けて販売できる状態にまで持っていくには、だいたい常に50万円から60万円ぐらいの整備費用がかかってます。
――それって業販価格で言う「50万~60万円ぐらい」なわけですから、一般ユーザーが同じ内容の整備をやろうとしたら、支払う額はもっと高くなりますよね?
市川さん おっしゃるとおりです。
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