まさにGTS-RこそがGT-Rを名乗れなかったスカイライン
「7thスカイライン」ことR31世代(1985~1989年)では1987年に発売された2ドアスポーツクーペGTS-Rこそが、「GT-Rを名乗れなかったスカイライン」ということになる。
R31のGTS-Rは、当時のグループAレースのホモロゲーションを取得するための市販車として800台限定で生産されたモデル。
フロントオートスポイラーを固定化して大型スポイラーを装備し、さらに大型ターボチャージャーと専用インタークーラー、等長ステンレス製エキゾーストマニホールドなどのチューニングにより最高出力210psをマークするRB20DET-R型2L、直6エンジンを搭載した。
「4気筒じゃなくて6気筒だし、そろそろ“GT-R”を名乗ってもいいんじゃないか?」とも思われたが、R31型スカイラインはそもそもがハイソカー路線の設計であったせいか「GT-Rを名乗るにはふさわしくない」ということになり、GT-Rを名乗るには至らなかった。
そんなR31の2ドアスポーツクーペGTS-Rは新車時価格340万円で、現在の中古車相場は360万~400万円といったところ。……昭和のレア物好きとしては、微妙というか絶妙に気になる価格ではある。
R32型スカイラインGTS—tタイムMは?
悲運の(?)R31型GTS-Rを経て、時は1989年。いよいよ第2世代GT-Rの一番手としてR32型スカイラインGT-Rが登場する。
R32GT-Rについては今さらくどくどご説明する必要もないとは思われるが、当時日産で行われていた「901運動」の集大成として開発され、ATTESA E-TSやSuper HICASなどの最新デバイスに加え、専用設計された最高出力280psのRB26DETT型2.6L直6ターボエンジンを搭載したリアルスポーツクーペだ。
それに対し、R32世代で「GT-Rを名乗れなかったスカイライン」といえば、GTS-tタイプMになるだろうか。
R32世代でGT-Rに次ぐ人気を誇ったGTS-tは、GT-Rが4WDであるのに対してFRレイアウトを採用したスポーティクーペ。
搭載されたRB20DET型2L直6ターボエンジンは215psという十分な最高出力をマークし、軽快でタイトな走りと相まって「……GT-Rじゃなくて、コレで十分なんじゃないか?」という感慨を人々にもたらした。
そのGTS-tの、16インチホイールを履いたバージョンがGTS-tタイプMだ。
中古車相場は、R32型GT-Rがおおむね400万~1700万円であるのに対し、GTS-tタイプMは230万~330万円。
ううむ、GT-Rほど高騰しているわけではないが、やはり「好きな人は好きな名作グレード」ということで、その相場は静かに高騰しているようだ。
あと、流通量がきわめて少ないのも無念なところではある。今みたいな時代だからこそR32のGTS-tタイプMみたいな小ぶりで小気味良いMT車、かなり素敵だと思うのだが。
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