中古車の検索サイトを見ていると、たまに目にするのが車両本体価格“1000円”という爆安な中古車。本当に1000円で中古車を購入できるのかと聞かれたら、それは“No !”と断言できる。
ここでは、なぜ1000円と書かれている中古車がその価格で乗ることができないのかという理由をはじめ、超低価格車の中古車購入の極意を紹介しよう。
文:萩原文博/写真:ベストカー編集部、TOYOTA、HONDA、Adobe Stock
1000円中古車は1000円では買えない
クルマの購入は中古車に限らず、新車の場合でも車両本体価格に加えて、諸費用というものが必ず必要となる。したがって予算100万円の中古車を購入し乗る場合、購入する車種の排気量や車検の残り期間にもよるが、大体80万~85万円ぐらいが目安となる。

改めてクルマの支払額の内訳を言うと、まず車両本体価格と呼ばれるクルマ自体の費用がかかる。
中古車の場合、展示場のプライスボードに書かれている数字、検索サイトに掲載されているのはこの数字であることが多い。したがって1000円というプライスが書かれていてもまったく問題ない。
しかし、クルマはこの車両本体価格だけでは、乗ることはできず、諸費用が必要となる。諸費用は法定費用と販売店手数料にわけることができ、法定費用は自動車税、自動車重量税、自賠責保険料、印紙代などのあずかり法定費用が当てはまり、これはどの販売店でも同じ金額となる。
そして一方の販売店手数料は運輸支局などでクルマの名義変更などを行う登録代行費用をはじめ、納車費用、車庫証明代行費用、整備費用などが当てはまり、こちらは主に人件費のため、販売店によって異なるのが特徴だ。
中古車界で画期的な支払総額の表記

最近の中古車検索サイトでは、よりユーザーへの信頼性を獲得するために、車両本体価格に加えて、諸費用を含んだ支払総額いわゆる乗り出し価格を掲載することが増えている。
この支払総額が掲載されていれば、実際にクルマに乗り出すまでいくらかかるかが明朗会計となり、中古車購入にありがちなグレーゾーンが無くなっているのだ。これは中古車業界の自浄作用によって実現した画期的なできごとである。
実際に有名中古車サイトで1000円の中古車を検索すると、ざっと100台以上ヒットした( ベストカーWebにも超低価格中古車が多数掲載されている!! )。
そのヒットした車種のほとんどは軽自動車で車両本体価格1000円の横には乗り出し価格の総支払額が掲載されており、1万~19万8000円とマチマチ。
最も多かったのが9.9万~10.8万円で、車両本体価格1000円の中古車でも、実際に街で乗れるようになるには10万円は必要であるということを示している。


中古車購入はゴールではない
よく、中古車を安く買う購入法で車庫証明などの申請は自分でやろうと言っているが、これは販売店側からすると、購入前に試乗させてもらおうというのと同じぐらい迷惑な話だと聞いたことがある。
最近の中古車は薄利多売がメインで、こういった手数料で利益を出しているのが現状なのである。

中古車購入は自分の条件にピッタリのクルマを見つけることが最もプライオリティが高いと思われるが、長年中古車業界に携わっていた立場から言うとそれは50点の答えだ。
中古車購入はゴールではなく、その購入した販売店との付き合いの始まりなのである。すなわち、自分の条件にピッタリのクルマを見つけることより、お客であるユーザーに寄り添い、これから始まるカーライフを安心して送れるようにしてくれる販売店を見つけることが中古車購入の成功の秘訣なのだ。
いかにして中古車のプロを味方につけるか
今回のような1000円という爆安中古車の場合は、どれだけ車検期間が残っているかそして、オイル漏れなど機関系のトラブルがないかというのが購入後コストをかけずに乗るためのポイントとなる。
しかし、一般的な中古車購入では目安となる予算は決める必要はあるが、車種やボディカラーなどをギチギチに絞ってしまうと、オイシイ車種を見逃してしまうのである。

どうしてもこの車種に乗りたい!と決まっている人は別だが、この予算内で自分の使用目的に合ったクルマを買いたいという人は車種をできるだけ絞らないほうがいい。
そういうお客様に対して、真摯に対応し自分が考えていなかった提案をしてくれる店こそ、本当に長く付き合える販売店を言えるだろう。
最も、避けたい店は今購入してくれたら、●●円値引きしますというすぐにお金の話をする販売店だ。こういう販売店は購入後に何かトラブルが発生しても対応してくれないといったこともある。
中古車購入は新車と異なり自分の目利き力が必要となる。それでは、シロウトは買えないと思う人はいるかもしれない。しかし、販売店スタッフはプロだ。そのプロを味方に付ければ良い中古車購入は難しい話ではない。
ユーザーに求められるのは、中古車のプロである販売店スタッフを味方にできるかどうかなのだ。販売店のクチコミを信用するのもいいが、やはり販売店に足を運んでこの人にカーライフを任せられると思う人から購入するのがベストだろう。
