鉄道の安全を支えるJR東海の巨大車両工場が改修!! 最新型ロボットと日々繰り返される地道な人力による車両保守


 JR東海を駆け巡る在来線車両の大規模な定期点検や修繕を一手に引き受ける、JR東海名古屋工場。この度、耐震工事ならびに機器設備の改良・更新工事が完了し、よりその機能と安全性が高められた。在来線車両向けとしては国内初となる施設も設置された、JR東海の最新鋭車両工場の中を見てみよう!

文、写真/村上悠太

【画像ギャラリー】JR東海名古屋工場に導入された最新設備と安全管理(17枚)画像ギャラリー

■自動塗装ロボットや新機能搭載の車体洗浄装置が導入

 JR東海名古屋工場はJR東海の在来線を走る特急車両、電車、気動車(ディーゼルカー)の定期点検や修繕を行う役目を持つ。東海道新幹線を走る新幹線車両たちは、この工場ではなく、同じような役割を持つ、浜松にある「浜松工場」で同様の保守点検が行われている。

 JR東海エリアを走る様々な在来線車両が集まるということもあり、その敷地面積は8.9万平方メートルと広大! 約450名もの人が働き、日々、車両のメンテナンスに従事している。こちらでは他の車両基地では実施できない、鉄道車両の定期点検の中でも最も規模の大きい「全般検査」・「重要部検査」が実施されており、JR東海の各エリアを走行する在来線車両たちは、検査時期を迎えると名古屋工場へ入場し、細部まで徹底的にバラバラにされて新車同様の状態にまでメンテナンスされ、再びそれぞれのエリアに戻っていく。年間の検査両数は約450両だ。

名古屋工場では電車だけでなく気動車も検査可能。写真は気動車

 今回の耐震工事と工場内機器更新では、在来線車両向けとしては国内初となる水性塗料を使用した自動塗装ロボットや新機能を追加した車体洗浄装置を新たに導入。この他、作業の省力化や最近頻発する自然災害などへの対応が随所に施された。

 まず僕らが案内されたのは「水性塗装ロボット」。これまでは有機溶剤に塗料をなじませた油性塗料を用いていた車両の塗装作業を、今回、環境と人の両方にやさしい「水性塗料」に変更。塗装後の乾燥や取り扱いが容易な油性塗料だが、最新技術で水性塗料でも同等の品質で塗装することができるようになり、今回在来線車両としては国内で初めて水性塗料を使用する塗装ロボットを導入。ただ、JR東海の在来線主力車両たちはほとんど塗装がいらないステンレス車体のため、このロボットが主に塗装するのは前面部分の白い部分が中心となる。

国内初の在来線車両向け水性塗装ロボット
国内初の在来線車両向け水性塗装ロボット

 車両の塗装ブースというとどうしても有機溶剤のニオイが気になるが、この塗装ブースにはあの特有のニオイはいっさいしない。それもそのはず、ここで使用されている水性塗料は有機溶剤成分が99%以上もカットされているのだ。

 続いては「車体洗浄装置」、つまりは洗車機だ。こちらも今回の工事で新機材が投入されている。これまで車体の前頭部分(いわゆる車両のおでこ部分)は手作業で洗浄されていたが、新機材ではこれを自動化。「側ブラシ」、「前面ブラシ」、「肩ブラシ」の3つをあらかじめ緻密に設定されたプログラムによって巧みに自動でコントロール。形状に合わせたコントロールはもちろんのこと、ワイパー部分はかわすといった細かなハンドリングで洗浄していく。

 特に車両の上部左右を洗浄する「肩ブラシ」に洗われているシーンはまさに「かゆいところに手が届く」ような光景で車両も気持ちよさそう……!

新導入された「車体洗浄装置」

 続いては「輪軸貯留庫」。輪軸とは一般的にいう「車輪」の部分のこと。輪軸が取り付けられている台車などもすべてをバラバラにして点検整備するわけだが、1両で4つの輪軸があり、さらにそれが複数両分あるので、輪軸の総数もかなりの数になる。それらを並べて保管するとそれだけでかなりの面積を取ってしまうので、名古屋工場では階層構造を持つ「輪軸貯留庫」で作業が完了した輪軸を保管。今回、この貯留庫に新たに自動移載・搬送装置を追加。これにより、従来、フォークリフトで輪軸貯留庫に出し入れしていた輪軸をより省力化して運搬することができるようになった。

次ページは : ■最新の安全訓練はVRで