三菱の大人気PHEVアウトランダーが全方位進化して帰ってきた。フロントフェイスもイメチェンして、電池容量も増加した。さらにヤマハと共同開発した新たなプレミアムオーディオを搭載するなど超絶パワーを遂げた同車をさっそく見ていこう。
※本稿は2024年10月のものです
文:国沢光宏、ベストカー編集部/写真:森山良雄、中里慎一郎、三菱
初出:『ベストカー』2024年11月10日号
■走りの進化をとことん実感!
数カ月前のこと。「アウトランダーPHEVがマイナーチェンジをするようだ」というウワサを聞き始めたと思ったら、直後に「電池容量を少し大きくするだけで何も変わらないらしい」。
正式なリリース出たので詳細チェックすると、なるほど見た感じ“ほぼ”同じながら、スペックは「パワーユニットの全面的な見直し」と言っていいほどの変更でした。
試乗前に説明を聞いてさらに驚く! 今までアウトランダーPHEVはシステム出力を公表していなかった。PHEVのシステム出力とはエンジン出力+電池から引き出せる出力の合計を示す。純エンジン車の最高出力と同じだと思えばいい。
そいつが変更前は約250psだったそうな。エンジン出力133psなので、バッテリーから120ps程度を引き出せるということになる。
それが新型になり約300psにパワーアップしたという! エンジン出力同じなのでバッテリーから170psも引き出しているワケ。
カタログスペックだと20kWhから22.7kWhに容量上がっただけの電池に思えるが、40%も出力性能を向上させているのだった。開発担当者に聞いてみたら0〜100km/h加速性能は10秒から8秒になったそうな。こら試してみなければなりません!
袖ケ浦サーキットで全開加速してみる。するとどうよ! 従来型電池でもスタートダッシュは充分速かったけれど、80km/hくらいで加速感が弱まっていく。
されど新型電池だと100km/hを超えても気持ちよ〜く加速していく。従来型を「ローギアード化し加速重視を狙った3L級パワーユニット」とすれば、新型は余裕のある4L級パワーユニットというイメージ。欧州やアメリカで通用する性能を目指したという。
新型電池になって40万円ほど高い価格設定になったけれど、電池容量の増加+50psのパワーアップ分だと思えば納得できる。加えて40%の出力増=回生能力も上がっているということ。回生性能向上は電気自動車としての性能向上に直結する。結果カタログスペックで102kmというEVレンジを実現している。
【画像ギャラリー】全方位進化したアウトランダーがいいね! ニューフェイスのアウトランダーを隅々まで是非(24枚)画像ギャラリー■ラリー車のごとく気持ちよく曲がる
大幅な見直しを受けたのはパワーユニットだけじゃなかった。最後のランエボ(エボXですね)の開発を手掛けた技術者が新しいアウトランダーPHEVの走りも改良。
従来型アウトランダーPHEVだってよく曲がるし滑ってもコントローラブルだから充分楽しいと思っていたけれど、これまた乗ってビックリ! 横滑りしながらもキチンと加速するようになってる!
従来型は、
1.速度上げる
2.コーナーでテール滑って横滑り防止装置が介入
3.速度ダウンを繰り返す
が、改良型は上手にセッティングされたラリー車のごとく適度な横滑り状態をキープしながら気持ちよく曲がっていく。欧州の“違いのわかるユーザー”だって納得してくれることだろう。現時点で販売しているSUVタイプのPHEVでは最も優れたハンドリングを持つ。
前述のとおり価格は40万円ほど高くなった。三菱自動車によれば「パワーユニットで35万円。質感の向上に5万円というイメージです」。
なるほどエクステリアもインテリアも大きな変更こそないが上手に加飾されており、600万円前後の価格帯なりに仕上がっていると思う。最近輸入車ユーザーだった皆さんが日本車に入ってきている。アウトランダーPHEVも人気らしい。
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新型アウトランダーの商品コンセプトは「威風堂々第二章」。全方位で進化を果たしている。
もともと評判のいい外観は、ホイールに加えフロントグリルの模様とバンパーの“口”のデザインを変更しているが、パッと見ではほぼ同じ。それより国沢氏の試乗記にあるように“中身”の進化が大きい。
欧州で2500kmのテストを実施し、高速安定性と乗り心地をレベルアップ。また駆動用電池の変更でパワーアップとEV走行距離の向上を果たしている。また、ヤマハと共同開発した新たなプレミアムオーディオも注目のアイテムだ。
●NEWアウトランダーPHEV Pエグゼクティブパッケージ(7人乗り)
・全長×全幅×全高:4720×1860×1750mm
・ホイールベース:2705mm
・車両重量:2180kg
・最低地上高:200mm
・パワーユニット:直4、2.4L PHEV
・エンジン最高出力/最大トルク:133ps/19.9kgm
・駆動用バッテリー容量:22.7kWh
・モーター最高出力(F/R):116ps/136ps
・モーター最大トルク(F/R):26.0kgm/19.9kgm
・WLTCモード燃費:17.9km/L
・サスペンション(F/R):ストラット/マルチリンク
・タイヤサイズ:255/45R20
・価格:668万5800円
コメント
コメントの使い方これだけ古い基本設計とシャシーでこれだけ褒めて貰えるんだから、他メーカーも桁が二つも違う開発費のかかるFMCをする必要はないですね。
他社も同じ車を改良して、長く長く売り続ければいい。同じ基準で評価さえしてくれたら絶賛間違いなし。細部に掛けられる資金も大きくなりますから