クルマの燃費がJC08モードで表記されていた頃、実測ではカタログ値の7~8割と言われていた。しかし現在のWLTCモードは実測値にきわめて近く、1回の給油で本当に1000kmを走破するクルマも登場している。そこで、燃費性能の高いマツダ CX-80を使い、片岡英明氏が実走行テストで計測する!!
※本稿は2024年12月のものです
文:片岡英明/写真:マツダ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年1月10日号
CX-80は航続距離1000kmの大台を超える!
ピュアエンジンの時代、3Lクラスの6気筒エンジンを積むSUVやミニバンの燃費は10km/Lに届かなかった。が、エンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッド車が出現し、燃費を大きく向上させている。CO2の排出量も大幅に減った。
航続距離が1000kmの大台を超えるクルマも増えている。その代表がマツダのCX-80だ。優れた熱効率の3.3L直列6気筒DOHC直噴ディーゼルターボに48VマイルドHVを組み合わせたe-SKYACTIV D 3.3は、大排気量エンジンながら驚異的な燃費性能を誇る。
そこで真の実力を知るために、WLTCモード燃費のモードごとの燃費を計測してみた。まずは横浜から一般道と首都高速を使い、待ち合わせ場所まで走る。約45kmの距離だったが、その間の燃費はオンボード燃費計で18.3km/Lだ。
この先からが本番である。最初は市街地モードに挑んだ。思いのほか混んでいたため、平均速度は20km/hを切った。そのためカタログに記載値の16.2km/Lを大きく下回る13.3km/Lにとどまっている。
アイドリングストップは作動するのだが、発進と停止の繰り返しが多いとエンジンが再始動する回数も増えた。停止時間が長いと燃費は徐々に落ち込んだ。渋滞の多い市街地は苦手である。この街中のステージを得意とするのは、トヨタのストロングHV(THSII)と日産のe-POWER、そしてホンダのe:HEVだ。
渋滞を抜け、やっと関越自動車道に入る。ちなみにCX-80の高速道路モード燃費は20.8km/Lだ。制限速度を守り、多くの区間を100km/hで巡航する。CX-80は空走状態で滑るように走るコースティングが上手だ。ICを過ぎるたびに燃費が向上した。
タコメーターを見ると、100km/h巡航は1500rpmでこなす。この回転域ではディーゼルとは思えないくらい静かだ。約30km走って高速道路を下り、燃費計に目を向ける。驚いたことに24.3km/Lという信じられない良好な燃費を叩き出していた。
トヨタでは2.5Lクラスの4気筒エンジンを積むTHSII、ホンダでは2Lクラスのe:HEVと互角の高速燃費だ。三菱のPHEVは寄せ付けない。この結果を知ると最後の郊外モード燃費に期待が高まる。
地方都市のバイパス道路や市街地を28kmほど走っての燃費は、郊外モード燃費の19.0km/Lをコンマ3上回る19.3km/Lだった。復路は道路が少し空いていたこともあり、トータル燃費は20km/Lの大台に迫っている。WLTCモード燃費は19.1km/Lだから、実燃費は少し上だった。
モード燃費を模したコースを使っての燃費計測だったが、実燃費もWLTCモード燃費とほとんど変わらなかったのは驚きだ。燃料タンク容量は74Lと大きいから、余裕で1000km無給油ドライブを楽しめる。ディーゼルエンジンは軽油を燃料とするから、お財布にもやさしい。
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