トヨタの人気コンパクトSUV「C-HR」が、2019年10月18日にマイナーチェンジし発売された。
2016年12月の登場後初となるマイナーチェンジだが、今回のハイライトはエクステリアのデザイン変更と、TOYOTA GAZOO Racingが手掛けた「GR SPORT」、1.2Lターボ車に6速iMTを新設定されたこと。
そんなマイナーチェンジされた「C-HR」の走りは、どのような評価をうけるのだろうか? 試乗会で、自動車評論家の工藤貴宏氏が感じたポイントを解説してもらう。
文/工藤貴宏
写真/編集部
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■マイチェンしたC-HRは何が変わったのか?
2016年末の発売と同時に人気を集め、2017年と2018年には、競合ライバルを抑えて日本国内におけるSUV年間販売ラインキングの1位に輝いたトヨタC-HR。コンパクトで運転しやすい車体サイズに斬新で個性的なスタイル、水準の高い走り、そしてハイブリッドの低燃費などが人気の理由である。
パワートレインは、1.8L自然吸気エンジンを組み合わせたハイブリッドと、1.2Lのガソリンターボエンジンが選べるが、7~8割のユーザーがハイブリッドを選んでいるという。
そんなC-HRがマイナーチェンジを実施した。変更の中心は“見える部分”で、目立つ部分ではフロントバンパーはエアインテークを左右へ広げて口を拡大。フォグランプを、エアインテークの上部へ移動させたのが従来モデルと判別しやすいポイントだ。
またG系とGRモデルのヘッドランプは、上部に長く伸びるLEDクリアランスランプをデイライトだけでなく、ターンランプの役割も兼ねるようにバージョンアップされている。それらのグレードはリヤコンビネーションランプのターンランプも、左右折時に光が中から外側へ向かって流れるように点灯するシーケンシャルターンランプも採用した。
つまり意匠的な変更は、フロントバンパーと灯火類に集約されている。しかも、パッと見てわかるほど明確に変わったわけではないので、前期型ユーザーにとってはひと安心といったところだろう。
また、ボディカラーは「エモーショナルレッドII」や「オレンジメタリック」などの8色の新色が追加され、インテリアカラーは新たに「オーキッドブラウン」が設定された。
とはいえ、変更点は見える範囲だけではない。見えない部分もしっかり進化していて、それは特に安全装備面だ。
駐車時などに障害物を検知してブレーキを作動させる「パーキングサポートブレーキ」や、後退時に後方左右から接近する車両を検知して衝突の可能性がある場合にブレーキを制御する「リヤクロストラフィックオートブレーキ」、そして車両周囲360度をディスプレイに映すことで死角の確認がしやすい「パノラミックビューモニター」などを設定。このあたりは、時代が求める安全装備をフォローしてきたと言っていい。
さらに、DCMと呼ぶ通信端末を全車に組み込んでコネクテッドカー化し、車載ナビの装着を前提とせずスマホを接続することでナビアプリを活用できるディスプレイオーディオ(タッチパネル画面付きのオーディオ)を標準搭載するなど、トヨタの最新モデルに準ずる変更も行われている。
では、走りに関する部分は変わっていないのか?
ほんのわずかでありプレスリリースにも書かれていないのだが、実は変更されている。ショックアブソーバーのメーカーが変わったのだ。従来はドイツブランドのSACHS(ザックス)製だったが、マイナーチェンジ後のモデルは日立(日立オートモティブシステムズ)製へと変更されている。
また、1.2Lガソリンターボエンジンを積んだFF車では、新たにトランスミッションに6速マニュアルが選べるようになったのもトピックだ。「iMT」と呼ばれる、新型カローラシリーズなどに搭載されているタイプで、発進時やシフトダウン時に最適なエンジン回転数になるよう制御するアシスト機能を備えたものである。海外市場には従来から設定されていた組み合わせで、待望の日本投入となった。
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