■マイチェンしたC-HRの注目すべきポイント
「走りに関してはほぼ同じ」と開発担当者は説明するショックアブソーバーの変更だが、やはりメーカーが変わると特性も異なるので、それに合わせてサスペンションの最適化というかリファインは行われている。あくまで特設コース内で乗り比べた印象でいえば、スラロームなどで特筆すべきほどの違いはなかった。
ただ、新しい仕様は初期応答が滑らかでわずかながら乗り心地が優れた印象。乗り心地におけるドイツ車のような塊感は(乗り比べてかすかに感じるほどわずかだが)控えめになったので、ドイツ車っぽい雰囲気を求めていた人にとっては少し残念かもしれない。ただ、それはあくまで「乗り心地」の話であり、繰り返すが今回の比較の限りはハンドリングに関しては大きな違いは感じられなかった。
一方で、運転好きのボクにとって期待を超えていたのが、MTモデルの楽しさだ。運転を積極的に楽しむのならパワートレーンはハイブリッドよりも1.2Lガソリンターボのほうが、より高いドライバビリティを味わえるのだが、とはいえCVTだけを組み合わせていた従来モデルはトルク不足感が拭えなかった。
しかし、MTと組み合わせることでエンジンのパワーをドライバーの操作によって引き出して走ることができるので、クルマとの一体感は大きく向上。エンジン自体は、実用ユニットだから特筆すべきほどの官能性はないのだが、力強すぎない“ほどよいパワー”ゆえに気軽に全開して使い倒す喜びを味わえるようになったのは朗報だ。
峠道を走るのであれば、過度なパワーよりもこのくらいのエンジンをガンガン回すのが本当に楽しく、ドライビングプレジャーに繋がる。この感覚を味わえるようになったのが、マイナーチェンジの注目ポイントだ。
そして、今回のマイナーチェンジで最大のトピックが、そんなMTも選べる「GR SPORT」の追加である。
■標準モデルと追加されたGRモデルの走りはどう違う?
マイナーチェンジを機に追加されたスポーツグレード「GR SPORT」は、ボディ補強、専用チューニングのサスペンション&パワーステアリング制御、19インチタイヤ&専用アルミホイール、そしてフロントバンパーをはじめとする専用のエクステリアに、GR専用シート&ステアリングなどのインテリアをコーディネートしたモデルだ。
これまでとは異なり、C-HRではリヤバンパーをノーマルのままとし、ベース車両をベーシックなS系グレードとするなど価格を抑えるアイデアを盛り込んだ。そのため上級グレードに対してわずか10万円ほどのアップと買いやすくなっているのがトピックである。とはいえ灯火類は上級グレードに準じているので、下位グレードがベースであることを感じる心配はないから安心していい。
走りは、“ピュアで美味しい水”のように淀みがなくすっきりとした感覚が好印象。ノーマルも走りの水準はかなり高いのだが、乗り比べるとステアリングの切りはじめに操舵感が変化する状況を感じたり、スラロームの切り返し時に大げさな挙動があったりと、雑味が残っているのだ。
一方でGR SPORTだとそんな雑味が取れてスッキリとしたさわやかさが味わえる。スッと収まるロールの収束も澄みわたっているし、思ったとおりに曲がって気持ちよく走れる。しかも、サーキットを攻めるではなく、あくまで日常でスポーティ感を味わうための味付けだから乗り心地だってノーマルより優れているほど。スイートスポットの広さを感じる。
走り好きなら、グレード選びは「GR SPORT」一択だろう。峠道でも楽しむなら、オススメは1.2LターボのMTだ。
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