日本特種ボディーと学生ボランティア団体が共同開発した災害支援専用の軽トラック「Dトラ」が、ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)の「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞した。
能登半島地震での活動が高く評価されたもので、日本特種ボディーは今後、Dトラの量産化を進め、ソーラーパネルと大容量充電器を搭載した自立型モデルの開発にも取り組むことにしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/日本特種ボディー
学生ボランティアのニーズに応える災害支援トラック
キャンピングカーや特種車両の製造を手掛けている日本特種ボディー(NTB)およびNTBグループと、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連)は2025年3月7日、災害ボランティア用に共同開発した「Dトラ」が「第12回 ソーシャルプロダクツ・アワード2025」(SPA2025)の「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞したと発表した。
軽トラックをベースとするDトラは、2024年8月に能登半島地震でボランティア活動をする学生のために開発された災害支援専用車だ。また、ソ教連は加盟する全国のソーシャルワーク養成校の在学生へボランティアを募り、学生ボランティアの組織化と企画・運営を行なっている。
学生たちは被災地域で家屋から家具や寝具を運びだし、集積場まで運搬する手伝いをするなど、現在までに20校、延べ500名を超える学生ボランティアが活動しているという。能登半島地震の災害ボランティアでは、8月21日にDトラが寄贈されている。
こうした活動が、社会的課題の解決に貢献する商品・サービスを表彰するSPA2025にて「災害復旧支援スキーム構築への参画」として評価され、「ソーシャルプロダクツ賞」の受賞に繋がった。
アワードの審査員からのコメントは次の通りだ。
「災害復旧支援スキームの構築に深く関与し、実際の被災地でのニーズに基づいた開発が行われています。特に、被災地でのボランティア活動を支援するため、学生が現場の経験を活かして改良を重ね、より迅速かつ効果的な支援が可能となる仕組みを構築している点が特徴的です。
支援活動のスムーズな展開や効率的な運用を目指し、復旧活動の迅速化に貢献しています。加えて、小回りの利く車両を活用し、機動力を高める工夫もなされています。現場の声を反映した実践的な取り組みとして、今後さらに多くの地域で活用されることが期待されます」。
現在のDトラは、外部電源からの充電により荷台に設置したLED照明を活用して夜間の支援物資の積み込み・積み下ろし作業を行えるように配慮している。NTBグループは今後の量産に向けて、ソーラーパネルの設置と大容量充電器の設置による完全自立型の電気消費システムの開発を行なっているという。
また、照明だけでなく各種家電製品の電源として活用できる車両を標準にして被災者への生活支援の充実化を図り、さらにソ教連との連携を強化することで、各自治体への販売やレンタル、日本財団・日本赤十字などの災害支援強化推進団体への販売も推進して行くことにしている。
【画像ギャラリー】SPAのの「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞した「Dトラ」(3枚)画像ギャラリー