2370万円の価格で登場したNSX。その約半額のGT-R、そして価格帯が近いポルシェ911ターボ。
この3台で最高速を比較したい、というのはクルマ好きの関心があるところではないだろうか。
国産最強王者GT-Rはまた王座に輝くのか、はたまた新参NSXがトップに躍り出るか?
300km/h付近の限界速度域でマイスター山野哲也がインプレッションをお届け。
文:ベストカー編集部/写真:小宮岩男
冬の夜の協奏曲が茨城に轟く
満天の星空だが、この時期にしてはやや気温が高いこともあり、周回路には薄くモヤがかかりオレンジ色の照明を滲ませる。
テスト会場のJARIは幻想的な雰囲気すら漂う。視界を遮るほどではないが、冬場の茨城県では早朝の濃霧がしばしば発生する。この先濃霧となれば最高速テストは中止せざるを得ないため気が気ではない。
前回のテストでGT-Rはメーター読み301km/h、GPS実測292.19km/hをマークしている。2017年モデルになり最高出力は20psアップし、動力性能は高まっている。
NSX、ポルシェ911ターボなど今回の最高速テストは300㎞/hを超える可能性の高いクルマたちだけに、コースのコンディションにも細心の注意を払わなければならない。
まずは動画をご覧いただこう。
国産代表GT-Rは記録更新なるか?
テストドライブを担当する山野哲也はGT-Rに乗り込み、ゆっくりと周回路へと走り出した。
コースの状態、クルマのコンディションを入念に確認している。5分ほどの時間をかけてスタート地点にGT-Rはスタンバイした。
ヘッドライトの光束がグッと天を向いて一瞬の後に“シュバババ!!”と400m地点付近でテストを見守るスタッフの元に猛烈なエンジン音が響いてきた。
……と同時に、本当に一瞬の間に400m地点を走り過ぎ、1000m以上先のバンクにテールランプが消えていく。ほんの1分半程度の時間だろうか。
ずいぶんと長くも感じられたし、あっという間のようにも思われた。スタート地点奥のバンクをヘッドライトが照らす。
「速い……」
“グォォォォォ”という空気を切り裂く音しか聞こえない。ストレートエンドで丸4灯のブレーキランプが明々と灯り再びバンクに消えていく。
「GT-Rはメーター読みで303km/hを確認しました」。
そう語る山野哲也の表情はいたって冷静に見えた。王者GT-R、とりあえず300km/hを超えてきた。
GPSでの実測値は295.77km/h。マイナーチェンジ前を3.5km/hほど上回る記録だ。
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