ドイツ代表911ターボSは驚異のスピード域に
続いてポルシェ911ターボに乗り替える山野選手。同じようにゆっくりとコースを一周してスタンディングスタート。
明らかにGT-Rよりも速く400m地点を通過し、バンクへと突入していく。次の周回、ストレートを走り去る音はGT-Rよりも静かだが、目に見えて速度が高い。
「911ターボはメーター読み317km/hまでは確認した。明らかにGT-Rより911ターボのほうが速い。
バンク内は250km/h程度で走るが、GT-Rは路面の小さなうねりを捉えてバウンシングするためどうしてもやや速度を抑えざるを得ない。しかし911ターボは綺麗にいなしてドライバーに不安な動きを感じさせない。
だから安心してバンク内でも速度を上げていける。GT-Rでは250km/hが限界だとしたら、911では260km/hで回れる。
ストレートに向けてアクセルを踏んでいくのだが、そこからの伸びも911ターボのほうがスムーズでグイグイ速度が伸びていく。エンジンパワーというよりも空気抵抗の差という印象」と山野哲也は解説する。
ポルシェ911ターボSはGPS実測値で308.49km/h。GT-Rより10ps大きい580psの大パワー、そして空気を味方につけた結果ともいえる。
注目のNSXはいかに?
さあ注目のNSXだ。山野哲也はコックピットに収まり丁寧にポジションを調整する。
「ステアリングの上下、テレスコは調整代が大きく、またレバーの動作感もしっかりしていて合わせやすい。GT-Rはレバーのロックがしっかり掛かったかがちょっと不安。
300km/hの領域でステアリングが不意に動いてしまったら大変なことになるので、こうしたクルマではとても大切なこと。911ターボは電動調整で緻密なアジャストができたのがよかった」
スタート地点に向かう間、何度かコース上に停止してスタートダッシュのシミュレーションを繰り返す。どのタイミングでブレーキをリリースしてアクセルペダルを全開にするのがベストなのかを探っているのだ。
今どきのモンスタースポーツのゼロヨン発進では派手なスキール音などいっさいしない。4輪で路面をガッチリと掴み取り、カタパルトから射出される戦闘機のごとく一瞬で速度を乗せる。
「前輪のモーター駆動はあまり感じない。リアから押し出すようなエンジンパワーで走っている印象。
バンク内は911ターボのようなビシッとした安定感は感じられず、路面の小さなうねりに対する動きはGT-Rよりもシビアに伝わってくるため、どうしても踏み切れない。
GT-Rよりも5km/h程度抑えざるを得なかった。バンク出口からストレートに向けての加速は、GT-Rよりも空気抵抗の小ささは感じるものの、圧倒的なエンジンパワーでグイグイと速度を引き上げていく感覚はGT-Rには敵わない。
それでもメーター読みで302km/hまでは確認できたので、最高速はほぼ同じだろう。ただGT-Rのほうが心理的余裕があった」とNSXを降りた山野哲也は評価した。
実際にNSXはGPS実測値で295.77km/hとGT-Rに次ぐ3番手タイム。挙動はGT-Rのほうがマイルドということもあり、安心感はGT-Rに軍配があがったようだ。
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