京都で脱炭素の「今」を体感 西脇府知事も登壇してZET-BASE KYOTO「夏まつり」開催

京都で脱炭素の「今」を体感 西脇府知事も登壇してZET-BASE KYOTO「夏まつり」開催

 2025年8月25日、京都府向日市の「ZET-BASE KYOTO」で“夏まつり”が開催され、スタートアップの展示や高校生の研究発表など「脱炭素を身近に」感じるコンテンツに155人が来場。イベントには西脇隆俊京都府知事も登壇し、カーボンニュートラルに向けた府の推進姿勢や現場との対話を重視する取り組みを共有、参加者との意見交換で交流を深めた。

文:ベストカーWeb編集部、写真:京都府

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ZET-BASEで“脱炭素の今”を体感

 京都で進むカーボンニュートラルの取り組みが、地域と次世代、そしてスタートアップをつなげた。2025年8月25日、京都府向日市のインキュベーション拠点「ZET-BASE KYOTO」で、一般公開イベント「夏まつり」が開催された。

 場所はJR向日町駅から徒歩2分、京都フィナンシャルグループMUKOUビル3階のイベントスペース。午前10時から午後3時まで、入居企業や関連スタートアップの展示、ピッチ、そして地元校による研究発表が並び、地域ぐるみで“脱炭素の今”を体感できる1日となった。

JR向日町駅前にある「ZET-BASE KYOTO」で開催。向日町駅は京都駅から電車で7分
JR向日町駅前にある「ZET-BASE KYOTO」で開催。向日町駅は京都駅から電車で7分

 来場者は155名。会場では、脱炭素に挑むスタートアップの最新プロダクトやサービスが披露され、地域の飲食・物販ブースも賑わいを演出。京都府立桂高等学校(植物クリエイト科・園芸ビジネス科)の生徒によるポスター展示や野菜販売、研究発表も行われ、産学官民の“クロス”が実現した。こうした交流は、ゼロカーボンの社会実装を進めるうえで欠かせない「理解の裾野」を広げ、若い世代の学びを実践へとつなげる場になっている。

 ZET-BASE KYOTOは、京都府が掲げる「ZET-valley構想」を現場で推進する拠点として、2025年4月に開設されたインキュベーション施設(起業家や創業初期の企業に対し、オフィスの提供、経営に関する専門的なアドバイス、資金調達支援、ネットワーキング機会の提供など、事業を成長・成功させるための包括的なサポートを提供する施設)だ。

 コワーキングや個室オフィス、会議室、イベントスペースを備え、インキュベーションマネージャーによる伴走支援やネットワーキングを通じて、脱炭素領域のスタートアップを後押しする。建物はZEB認証を有し、施設そのものが省エネ・脱炭素のショーケース。

 今回の「夏まつり」は、入居者と地域住民が出会い、互いの活動を知る“開かれた”機会として企画された。

京都府内に足場を置く企業が出展し、来場者に取り組みをプレゼンテーション。こうした「人と人、技術と技術」が出会う場が必要
京都府内に足場を置く企業が出展し、来場者に取り組みをプレゼンテーション。こうした「人と人、技術と技術」が出会う場が必要

 出展は、Curelabo、Symbiobe、SPACECOOL、林造園建設工業、ピューズ(昨年の京都モビリティ会議2024出展企業)、ヴーム、増錬工業、未来食研究開発センター、京都銀行など、多様なプレイヤーが名を連ねた点も見どころ。省エネ素材からサーキュラー経済まで、脱炭素をめぐる“技術×産業”の連携が一堂に会した。来場者は各ブースで製品を手に取り、担当者から解説を受け、今後の社会実装の展望について活発に意見を交わしていた。

 午後は、京都府の西脇隆俊知事が会場入り。出展ブースを視察し、スタートアップや高校生の展示説明に耳を傾けた後、「西脇知事と行き活きトーク」に登壇した。テーマは「ゼロカーボンまちづくりの未来について」。知事が登壇者一人ひとりから、現場の課題、府に期待する支援、今後の抱負を聞き取り、府政への反映につなげる趣旨だ。今回は、民間企業・金融機関・学生と、立場の異なる当事者が同じテーブルに付き、脱炭素技術やまちづくりについて意見交換を行った。

参考サイト:京都府「西脇知事と行き活きトークHP」

イベントには西脇隆俊府知事も来場。各ブースを回ったりステージイベントに登壇して脱炭素社会への取り組みについて語り合った
イベントには西脇隆俊府知事も来場。各ブースを回ったりステージイベントに登壇して脱炭素社会への取り組みについて語り合った

 ディスカッションには、京都銀行向日町支店・東向日町支店の大垣支店長、林造園建設工業の林代表、Curelaboの山本代表、桂高校の生徒らが参加。各者が具体的な取り組みや課題を共有し、アップサイクル技術やスタートアップ支援、ZET-BASE KYOTOを通じた脱炭素のまちづくりなど、現状から未来についてまで幅広い意見が交わされた。府内の教育・金融・産業が一体で動くことで、府民生活に根差したゼロカーボンの姿が現実味を帯びてくる。イベントの様子は、後日、京都府の公式YouTubeチャンネルで公開予定だ。

 ZET-BASE KYOTOのような拠点が果たす役割は、単なる“貸しスペース”にとどまらない。創業・成長フェーズにあるスタートアップは、技術・人材・資金・販路など多方面の課題に同時対応が求められる。さらに、そうした技術や人材が繋がるためには「場」が必要となる。

 ZET-BASE KYOTOは、そうした技術や人材が繋がる「場」のための施設として、京都府が後押しして設立された。

 今回の「夏まつり」では、自治体、地銀、地元企業、教育機関が一堂に会し、技術デモから次世代人材の育成まで、多層的な接点が自然に生まれた。とりわけ高校生の参加は、研究成果の社会接続を早期に体験できる貴重な機会であり、地域の未来を担う人材づくりにも直結する。まさに「場」が機能したイベントといえる。

 会場のポスターや案内にもある通り、ZET-BASE KYOTOは公共交通でアクセスしやすい立地にあり、イベントは誰でも気軽に参加できる開かれた形で設計された。こうした“行きやすさ・参加しやすさ”は、テクノロジーの理解を広げ、行動変容につながる重要な要素だ。今回の手応えを踏まえ、同拠点は今後も地域交流イベントや成長支援を継続。2025年11月にブラジルで開催されるCOP30を見据え、京都から国際社会へ向けた情報発信にも力を入れていくという。

 西脇知事は、「集まる場やスペースは非常に重要で、集まって話すことにより輪が広がり、そういう輪を広げていくことがスタートアップや脱炭素において重要」と語った。

 ZET-BASE KYOTOは、今後も脱炭素スタートアップの集積とオープンイノベーションを促し、向日市のまちづくりとともに歩む拠点であり続けるだろう。地域に根差した実装と、国際舞台を視野に入れた発信を両立しながら、「ゼロカーボン社会のリアル」を京都から更新していく。

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