伝説的なクルママンガ『頭文字D』(しげの秀一著/講談社刊)の連載開始30周年を記念したイベント「INITIAL D 30th Anniversary 2days」が、富士スピードウェイを舞台にて、2025年9月13日(土)と14日(日)の二日間で開催された。トヨタ86シリーズとスバルBRZという人気スポーツカーに加え、最強コンテンツである『頭文字D』がコラボレーションしたことで、のべ3万7600人が来場する巨大イベントとなった。今回は、2日目に開催された「頭文字D World Summit 2025」の模様をお届けします。
文、写真:大音安弘
伝説のクルママンガ最高の「推し活」の場に
ファンイベント「INITIAL D 30th Anniversary 2days」は、『頭文字D』が週刊ヤングマガジンで連載が開始してから30周年を記念したもの。トヨタ86とスバルBRZシリーズのファンイベントとして11年目を迎えた「FUJI 86/BRZ STYLE」との共催という形で行われた。二日間のイベントを通じて、頭文字Dの世界観を楽しむことができたが、よりフォーカスした展示やコンテンツが充実していたのが、日曜日の「頭文字D World Summit 2025」なのだ。
当日の富士スピードウェイの周辺には『頭文字D』を彷彿させるAE86やFDなどの国産スポーツカーが大集結しており、その光景だけでも見応え十分。会場内のCパドックには、『頭文字P』と題した作中登場車だけの専用駐車エリアも用意され、ファンによる散策やオーナー同士の交流で盛り上がりを見せていた。
当日(イベント2日目の9月14日)の来場者数は、前日比+6200人となる21,900人に上った。初日が雨天となった影響もあるが、やはり最大の要因はファン層の厚さだろう。まさに老若男女という幅広い世代が集っており、ちびっ子から祖父母セダンまでが集う。特に、女性ファンの多さに驚かされた。
クルマ好きだけでなく、マンガ好きからも『頭文字D』が深く愛されていることを感じる。そして『頭文字D』にまつわるTシャツなどのウェアを着ている人も多い。ここは『頭文字D』の推し活の場なのだ。
Aパドック中心に設けられたステージでは、さまざまなゲストを招いたトークショーを開催。クルマ好きたちからアニキとして慕われる織戸学選手を始め、少年時代に『頭文字D』の影響を受けてきた平手昇平選手や久保凛太郎選手、佐々木正弘選手といった人気レーサーによる『頭文字D』トークは、クルマ好きには溜まらないネタと笑い話が満載。
そして、個人的にも驚きだったのが、アニメ版『頭文字D』シリーズに欠かせないユーロビートのアーティスト、デイヴ・ロジャースさんが登壇したこと。いまや62歳となったデイヴさんだが、力強い歌声は健在で、生ライブを実施。ファンと一体となり、Aパドックをユーロビートで包んだ。
プロレーサーたちの共演もサーキット開催ならではの見どころ
サーキットイベントだけに、魅力的な走行コンテンツも充実。レーシングコース最初の見せ場は、1986年から2年だけ開催されたAE86富士N2レースを復活させた「AE86富士N2決戦」だ。25台の新レギュレーションに準じたN2マシンがエントリーし、ドリキンこと、土屋圭市選手も、SUPER N2仕様のレビンで参戦。惜しくも2位となったが、華麗なバトルが繰り広げられ、その走りに来場者たちは魅了された。
お楽しみコンテンツも充実しており、ホームストレートを活用して行われた「頭文字Dテクニック対決!」は、プロレーサーたちが、観客の目前でハチロクを操りテクニックを競うもの。世界一のハチロク使いと言っても過言ではないドリキンは、ダンサブルな走りを披露。それに負けじと、平手選手も派手なパフォーマンスを見せるなど、観客席からの視線をくぎ付けに。立派な旧車であるハチロクだが、その魅力は今も褪せないことを走りで伝えてくれた。
レーシングコースでは『頭文字D』ならではの目玉企画も用意。それがAパドックそばのADVANコーナーを使った「頭文字D再現ドリフト」だ。サーキットコースにあるADVANコーナーをストーリーに登場する峠に見立て、頭文字Dファンに愛車を提供してもらい、頭文字D名シーンを再現するという驚きのもの。もちろん、ステアリングを握るのは、ドリキンたちプロレーサーだ。
主人公の藤原拓海と赤城レッドサンズの高橋涼介のバトルで、拓海のハチロク(土屋圭市選手)が、亮介のFC(織戸学選手)を抜き去るシーンなどを再現。参加したレーサーたちも頭文字Dのファンなので、ノリノリで名シーンの再現に挑み、巧みなテクニックによる見事なバトルに、ファンたちも歓喜した。
ピットエリアでは、同じ再現でも瞬間を切り取った「名バトル再現展示」も行われ、フォトスポットとしても大人気に。そのエリアにも、コミックやアニメに登場したクルマたちに近いボディファイを加えたオーナーカーたちが勢ぞろい。いろは坂での大ジャンプが有名な拓海のハチロクと小柏ケンのSW20のバトルなどの名バトルの1シーンが、実寸大となったコミック画の背景をバックに、実車を並べることで再現されていた。まさに30周年に相応しいスケールの大きな展示といえよう。
そして、ファンには涙モノだったのが、『頭文字D』の原画展。拓海や高橋兄弟といった人気キャラクターが登場するシーンや、コミック表紙などに使われた貴重な原画の展示。観覧まで約1時間待ちとなるほどの好評ぶりであった。
イベントのフィナーレは、『頭文字D』ファンが愛車と共に参加したパレードランで締めくくられた。これほどのハチロクやネオクラの国産スポーツカーが集結する機会は珍しいと思うほど、コミックに登場するスポーツカーたちでサーキットコースが埋め尽くされた光景は、まさに圧巻。
パレードランには、ドリキンらも参加。あまりのイベントの盛況ぶりに、ドリキンが、「来年も『頭文字D』イベントやろうよ!」と何度も嬉しそうにファンに呼び掛けていたのが印象的だった。



































































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