ジャパンモビリティショー2025の会場を歩いていたら、なにやらランクルみたいにタフな電動クルマ椅子を見つけた。聞いてみたら驚くなかれ、本当にランクル開発者が作ったものだったのよ!!
文と写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】クルマ椅子のランクルを間近で見て!(6枚)画像ギャラリーランクルでなくてはならない理由があった!
通称トヨタグループ館と呼ばれるジャパンモビリティショー南ホールで見つけたその電動クルマ椅子は、「me∞(ミーアンプリファイ)」という。調べてみたら1年前の「第51回 国際福祉機器展&フォーラム」にも「JUUプロト」という名で出展されていたようだ。
ひと目見るだけで、頑丈なフレームとオフロードタイヤを履いたゴツさに驚く。ちょうど背後にランクルFJが飾ってあったので「クルマ椅子のランクルだなー」と思って尋ねてみたら驚いた。この試作車、本当にランクルの開発者が作ったのだそうだ。
その開発者とは渡辺義人さん。ランドクルーザー250のチーフプロダクトデザイナーを務めた後、トヨタの先進技術開発カンパニー先進デザイン開発室長となり、「me∞」を手がけたという。
「ランクルのスピンオフ的な遊び心かな」。そんな気持ちでお話を伺ってみるととんでもなかった。この電動クルマ椅子には、ランクルでなくてはならない理由が詰まっていたのだ。
どんな人も外出を諦めない社会を目指して
実は下肢に障がいを負った方には2輪に乗られてきた方もおり、もともと積極的に外へ出ることを好む。となればクルマ椅子もアクティブであってよく、オフロードタイプの構想が生まれたのだという。
オフロードタイプだとどこが違うのか。タイヤがオフロードタイプになるのは分かるがそれだけじゃない。フレームを見ると立派なサスペンションがあり、路面からの突き上げを抑え込んで腰を守る。これはとあるパラスキーヤーの要望から生まれたそうだ。
さらに傾斜地を上る際には後ろへの転倒が生じやすい。それを防ぐために、車両後方へ延びる補助バーも付けた。これはフリッパーと呼ぶそうだ。
バッテリーの取り付け位置も考えられた。従来の電動クルマ椅子は座面下に搭載されることが多いのだが、ここだと水に濡れやすく、釣りに出かけたり、万一の水害などの際に水没すると走行不能となりかねない。
そこで「me∞」では、バズーカ砲のように見える肘置きの円筒をバッテリーケースにした。この肘置きは先にLEDランプも備わっており、暗い野外などでも良好な視界が得られるよう配慮されている。ぱっちりした目みたいで見た目の愛らしい。
聞けば、日本の介護施設の送迎車両の数はタクシーより多いのだという。そんなに介護を求める人が多いのならば、「me∞」のような電動クルマ椅子はもっと話題として取り上げられてよい。どんな人も外出を諦めない。そんな社会を早く実現しなければ!








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