オールシーズンタイヤは得か損か? 「雪道OK」の境界線と買うべき人/やめた方がいい人

オールシーズンタイヤは得か損か? 「雪道OK」の境界線と買うべき人/やめた方がいい人

 冬の季節にドライバーを悩ませる、突然の降雪。朝起きると路面が真っ白、クルマで出かける予定だったのにどうすべきか…と頭を抱えることありますよね。とはいえ、年に数回しか雪が降らない地域でスタッドレスタイヤを用意するのは、費用や保管スペースの面で悩ましいところです。

 そこで近年注目されているのが「オールシーズンタイヤ」です。履き替え不要といわれますが、本当に雪道で使えるのでしょうか。また、費用面で得なのか損なのか。その性能とコストの両面から整理します。

文:立花義人、エムスリープロダクション/アイキャッチ:Adobe Stock_promolink/写真:Adobe Stock、写真AC、国土交通省、ミシュランジャパン

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オールシーズンタイヤとは? 万能ではない「バランス型」

 オールシーズンタイヤとは、その名のとおり、夏用タイヤと冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の特性をバランスさせたタイヤです。最大の特徴は、基本的に年間を通じて履き替え不要な点。雨天時の排水性を確保しながら、軽度の積雪路でも一定のグリップを発揮するよう設計されています。

 近年は、一定の雪道性能を有することを示す国際基準「スリーピークマウンテンスノーフレーク(3PMSF、いわゆる「スノーフレークマーク」)」が刻印されたオールシーズンタイヤも増えてきており、この表示があれば、スタッドレスタイヤと同じく、チェーン規制時を除く冬用タイヤ規制区間を通行できる場合もあります。

オールシーズンタイヤ。雨天時の排水性を確保しながら、軽度の積雪路でも一定のグリップを発揮する(PHOTO:Adobe Stock_ Alex_Kalin)
オールシーズンタイヤ。雨天時の排水性を確保しながら、軽度の積雪路でも一定のグリップを発揮する(PHOTO:Adobe Stock_ Alex_Kalin)
山形の中に雪のマークが入った「スノーフレークマーク」。このマークがあれば、冬用タイヤ規制の道路でも走行できる(国土交通省「雪道での立ち往生に注意!」より)
山形の中に雪のマークが入った「スノーフレークマーク」。このマークがあれば、冬用タイヤ規制の道路でも走行できる(国土交通省「雪道での立ち往生に注意!」より)

雪道性能はスタッドレスタイヤに及ばない とくに制動性能での差は明確

 しかしながら、一般的なオールシーズンタイヤは、幅広い条件に対応できる一方で、雪道性能はスタッドレスタイヤほど高くありません。

 特に制動性能ではスタッドレスタイヤに及ばず、JAFが実施した雪道における制動距離テストでも、時速40kmから圧雪路でブレーキをかけた場合、停止までの距離は夏タイヤが29.9m、スタッドレスタイヤが17.3m、オールシーズンタイヤが22.7mという結果が示されています。オールシーズンタイヤは夏タイヤより短いものの、氷雪路に特化して設計されているスタッドレスタイヤとの差は明確です。

 この違いは、氷点下でも柔軟性を保つ専用ゴムや、細かなサイプ(溝の切れ込み)といった、スタッドレスタイヤ特有の構造によるもの。一般的なオールシーズンタイヤが向いているのは「突然の降雪」「年に数回雪が降る」といった地域や使用状況です。本格的な雪道走行や、凍結路を日常的に走る環境では、スタッドレスタイヤのほうが安全性は高いと考えるべきでしょう。

走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ(JAFユーザーテスト)

一般的なオールシーズンタイヤは、幅広い条件に対応できる一方で、雪道性能はスタッドレスタイヤほど高くない(国土交通省「雪道での立ち往生に注意!」より)
一般的なオールシーズンタイヤは、幅広い条件に対応できる一方で、雪道性能はスタッドレスタイヤほど高くない(国土交通省「雪道での立ち往生に注意!」より)

コストも、オールシーズンタイヤのほうが抑えやすい傾向

 一般的な国産車向けの17インチサイズを例にすると、純正ホイールを流用してオールシーズンタイヤのみ購入する場合、4本でおよそ10万円前後が目安になります。

 一方、スタッドレスタイヤをホイール付きで新たに購入する場合は、おおよそ12万〜15万円程度が相場です。さらに履き替え(脱着)工賃が年2回で約8千円前後、保管サービスを利用すれば約2万円ほどの費用が発生します。合計すると、年間で3万円前後の追加コストがかかる計算になります。

整理すると、

・オールシーズンタイヤ(純正ホイール流用)の場合
 初期費用:約10万円
 年間維持費:基本的に不要

・サマータイヤ+スタッドレスタイヤの場合
 初期費用:約12万〜15万円
 年間維持費:0〜3万円程度

 という違いになります。もちろん(サマータイヤ+スタッドレスタイヤの場合で)自宅保管かつ自分で脱着すればそのぶんのコストはかかりませんが、そこを差し引いても、オールシーズンタイヤのほうがコストを抑えやすい傾向にあります。

 ただし、オールシーズンタイヤは一年を通して使うため摩耗が進みやすく、走行距離が多い場合は交換時期が早まり、長期的には必ずしも経済的とは限りません。また、乾燥した路面での燃費性能やハンドリング性能、ロードノイズにおいては夏用タイヤのほうが有利なケースが多く、走行性能を重視する場合は、その差をどう考えるかが判断の分かれ目になります。

ミシュランの「クロスクライメート3 SPORT」。オールシーズンタイヤでありながらハンドリング性能の高さを追求したタイヤ。乾燥路面でのグリップを気にするドライバーにおすすめだ(画像はミシュランジャパンのプレスリリースより)
ミシュランの「クロスクライメート3 SPORT」。オールシーズンタイヤでありながらハンドリング性能の高さを追求したタイヤ。乾燥路面でのグリップを気にするドライバーにおすすめだ(画像はミシュランジャパンのプレスリリースより)

◆     ◆     ◆

 夏用タイヤより雪に強く、スタッドレスタイヤほど雪に特化しない中間的存在であるオールシーズンタイヤ。突然の降雪への備えとしては十分な性能を持ち、履き替え不要という利便性は大きなメリットですが、凍結路や深い雪では限界があり、すべての条件で最適とはいえません。

 損か得かは使用環境や走行距離、価値観によって変わるため、一概にはいえませんが、年間の走行距離が比較的少なく、降雪も限定的な地域であれば、オールシーズンタイヤは合理的な選択肢になり得ます。参考になれば幸いです。

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