国土交通省が5カ年計画の「事業用自動車総合安全プラン2030」を取りまとめたことを受けて、全日本トラック協会はトラック運送業としての目標を共有し、交通事故削減を図るため「トラック事業における総合安全プラン2030」を策定した。
前の5カ年計画である「プラン2025」は目標未達が確定的となっており、運送業の社会的信用を取り戻すため更なる取組が必要な状況だ。物流の担い手不足は今後さらに深刻化すると予想され、自動運転など新技術を取り入れながら適切な人材を確保するなど、事業環境の変化に注視しつつ、臨機応変に対策を講じていかなければならない。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
図・表/公益社団法人 全日本トラック協会
「事業用自動車総合安全プラン2030」が正式にスタート
国土交通省は新年度(2026年4月)よりスタートする事業用自動車の事故防止に係る新たな5カ年計画「事業用自動車総合安全プラン2030」を取りまとめた。
また、これを受けて全日本トラック協会(全ト協)は事業用トラック(軽自動車を除く)が関係する事故防止のため、「トラック事業における総合安全プラン2030」を4月6日に公表した。
国交省の総合安全プランはトラック、バス、ハイヤー・タクシー、貨物軽自動車など事業用自動車全般の事故削減目標を定めており、2026年度からの正式スタートに先立って案が公開され、パブリックコメントを募集していた。全ト協はこれをベースに、トラック1万台当たりの事故件数等を各都道府県トラック協会の共有目標とした。
3月末までが計画期間だった前の5カ年計画(プラン2025)では、全体目標として「交通事故死者数225人以下」「飲酒運転ゼロ」などが掲げられたが、達成は厳しい状況に……。交通・物流を担うエッセンシャルワーカーが社会的信用を得るためには、更なる取組が必要という状況になっている。
プラン2030では、運転者の高齢化に伴う人手不足への対応や、経験が未熟な運転者への安全対策、近年増加している軽貨物の事故を削減するためトラックと軽貨物の目標を分けて設定すること、施策効果を評価するため総走行距離当たりの目標指標を併記することなど、事業環境の変化に対応した。
重点施策は6つあり、
1. 自動車運送に係る全ての者における行動変容の推進
2. 運行管理未実施、飲酒運転等悪質な法令違反の根絶
3. ICT、自動運転等新技術の開発・普及推進
4. 少子高齢社会における事故の防止対策の推進
5. 原因分析に基づく事故防止対策の立案と安全体質の継続的強化
6. 道路交通環境の改善
などとなっている。
プラン2030数値目標とトラック協会の共通目標
プラン2030の数値目標は次の通りだ(全体目標と事業用トラックのみを掲載)。
全体目標
●令和12年までに24時間死者数225人以下(0.31人/億km以下)
●令和12年までに重傷者数1,740人以下(2.39人/億km以下)
●令和12年までに人身事故件数16,500件以下(22.68件/億km以下)
●飲酒運転ゼロ
事業用トラック(軽貨物を除く)
●令和12年までに死者数175人以下(0.30人/億km以下)
●令和12年までに重傷者数820人以下(1.42人/億km以下)
●令和12年までに人身事故件数5,800件以下(10.04件/億km以下)
●飲酒運転ゼロ
●令和12年までに追突事故件数2,380件以下(4.12件/億km以下)
トラック向けに「追突事故」の目標値が加えられているのは、これがトラック事故の半数を占めるためだ。
また、関係者へのわかりやすさと、車両台数の異なる地域で目標を共有するため、全ト協は各都道府県トラック協会(車籍別)の共通目標を次の通り設定している。
全ト協目標値
●車両台数1万台あたりの死者数と重傷者数の合計を「7.5人以下」
(死者数と重傷者数の合計を995人以下とする必要があるため)
●飲酒運転ゼロ
●車両台数1万台あたりの人身事故件数を「43.7件以下」
(人身事故件数を5,800件以下とする必要があるため)
●車両台数1万台あたりの追突事故件数を「17.9件以下」
(追突事故件数を2,380件以下とする必要があるため)
なお車両台数は、令和6年12月末時点での軽自動車・トレーラを除く営業用トラックの保有台数となる1,326,863台を基準に算出した。

