2026年3月。衝撃のニュースが飛び込んできた。ホンダが四輪電動化戦略の見直しを表明し、発売を間近に控えていたゼロシリーズなど3台のBEVの発売&開発中止を発表。ホンダの苦渋の決断を、7人の自動車評論家が忖度なく評価する。
※本稿は2026年4月のものです
文:桃田健史、井元康一郎、鈴木直也、松田秀士、山本シンヤ、西川 淳、小沢コージ/写真:ホンダ ほか
初出:『ベストカー』2026年5月10日号
※星の数は多いほうがホンダの決断がよかったことを意味しています
モビリティショーで方針転換を表明すべきだった(桃田健史)
●ホンダの決断への評価:★★☆☆☆
決断が遅い。原因は、世の中の流れに対して企業としての対応が半歩から一歩遅れていたからだ。
時計の針を戻せば、BEVバブルが始まったのは2015年のCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択されたパリ協定が起点。
アメリカ、中国、欧州で環境向けの投資バブルが起こり、そこにBEVが巻き込まれた形だ。BEVバブルのピークは2010年代末から2020年代初頭。ちょうどホンダが2040年BEV・FCEV100%宣言をした頃にあたる。
2022年から2023年頃は、環境関連の投資バブルが下降するなか、ホンダとしては焦りが出てきた。
BEVへの移行期間では次世代HEV開発も考慮してきたものの、移行期間がホンダの想定よりかなり長くなりそうだという雰囲気が社内に広がり始めていた。しかし報道陣向け対応を含め、次世代HEV強化の動きが遅れた。
こうした遅れを取り戻す特効薬がないまま、第2次トランプ政権の環境政策転換の影響を見誤った。結果的に「0シリーズ」やソニー・ホンダモビリティの抜本的な事業計画見直しをせざるを得ない状況に追い込まれたといえる。
最も遅くても、ジャパンモビリティショー2025の時点でBEV事業転換を打ち出すべきだった。
現時点でホンダ社内外の人たちにとって、ホンダのBEV普及期に向けた勝ち筋が見えてこない。ホンダはいまこそ、次世代の「ホンダらしさ」の在り方を自問自答するべきだ。
トップで戦えるBEVの技術力などに欠いていた(井元康一郎)
●ホンダの決断への評価:★☆☆☆☆
次世代BEV商品群「0シリーズ」のうち、対米戦略車2モデル、およびソニーとのコラボレーションブランド「アフィーラ」からの撤退というホンダの決断。
2兆5000億円という損失額は大きな痛手であるものの、北米市場を四輪のお得意様としているホンダとしてはやむなしの措置だったといえる。
が、この失敗を市場環境の激変という視点でのみ捉えると、ホンダの実情を見誤る。ホンダにとって最も深刻な問題は、トップ水準で戦えるBEVを作るだけの技術力や部品調達力を欠いていたことだ。
0シリーズのうち今回お蔵入りになった「サルーン」「SUV」は度外れてアバンギャルドなスタイリングを持っていた。もしこれで電気的性能や自動運転などの機能が月並みだったら見掛け倒しと嘲笑されるのは必定というレベルだ。
次世代商品をあえてそういうものにしたのは不退転の決意の表れといえたが、2025年秋のジャパンモビリティショーの段階でも性能目標ひとつ出せなかった時点で暗雲が垂れ込めていた。
アフィーラも10万ドル(1600万円)カーなら自動運転レベル4くらい実現させられなければ、これまた張りぼての謗りを免れない。
ホンダはこれまでリテール向けの純電動車で成功した試しがない。今回の撤退は一見賢明だが、何もやらないうちに撤退したというのでは顧客から信頼を得ることも失敗から学ぶこともできない。できるだけ早く次なる手を打つべきだ。
【画像ギャラリー】カッコ良かったのにもったいない!! 開発中止になったホンダEV全部見せ!!(8枚)画像ギャラリー










コメント
コメントの使い方