9月に入り、朝晩には秋の気配を感じる日も増えてきました。秋といえば行楽やドライブに適した季節ですが、クルマを運転する際は、日没前後の事故に注意が必要。秋から年末にかけては、夕暮れ時の交通死亡事故が目立って増える傾向があります。
警察庁の統計によると、2021~2025年に日没前後1時間で発生した死亡事故1555件のうち、10~12月だけで589件にのぼります。1年の4分の1にすぎない3か月間に、全体の約38%が集中しているのです。
なぜ、秋の日没前後はこれほど危険なのか。公的データやJAFの検証資料をもとに、薄暮(はくぼ)時間帯に死亡事故が多発する理由と、早期ライト点灯が不可欠なわけを解説します。
文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock/Edhar/写真:Adobe Stock、写真AC、政府広報オンライン、JAF
【画像ギャラリー】秋の夕方はマジで危ない!! 「まだ明るいからライトは不要」が危険な理由…死亡事故が増える魔の時間帯(9枚)画像ギャラリー死亡事故は17~19時台に多発! 自動車対歩行者の85%が横断中
内閣府大臣官房政府広報室が運営する政府広報オンラインによると、2021~2025年の時間帯別死亡事故件数は、17時台が856件、18時台が754件、19時台が699件。ほかの時間帯に比べて、この3つの時間帯が突出して死亡事故件数が多くなっています。
季節や地域によって日没時刻は異なりますが、17~19時台は、一般に夕暮れ時や日暮れ時とよばれる時間帯。警察庁では、日の入り時刻の前後1時間を「薄暮時間帯」と定義しています。
薄暮時間帯の死亡事故は8月以降に増え始め、10~12月にもっとも多く発生しています。この薄暮時間帯の死亡事故を当事者別にみると、「自動車対歩行者」が50%と全体の半数を占め、薄暮時間帯を除いた昼間の21%、夜間の45%と比べて、自動車と歩行者が衝突する事故の割合が高い傾向。
さらに、(薄暮時間帯に発生した)自動車対歩行者の死亡事故のうち、85%が歩行者の「道路横断中」に発生しています。その約7割は横断歩道以外の場所であり、横断歩道外を渡っていた歩行者の約7割に法令違反が確認されています。
道路横断中の事故では、歩行者から見て左方向から直進してきたクルマとの衝突が、交差点、単路ともに多くなっています。右から来るクルマに意識が向き、左側の確認が不十分になる可能性も考えられます。右から来たクルマが止まった場合でも、慌てて渡らず、左から別のクルマが近づいていないか確かめることが大切です。
秋は「つるべ落とし」といわれるほど、日が暮れるのを早く感じる季節です。日没が早まると、薄暮時間帯が通勤や買い物、子どもの下校などと重なります。人とクルマの動きが増える時間帯と周囲が暗くなる時間帯が重なることも、事故が増える一因と考えられます。
【参照】夕暮れ時に歩行者が死亡する交通事故が多発!この時間帯の交通事故を防ぐには?
「まだ明るい」が落とし穴! 日没前から周囲は急速に暗くなる
まだ空に明るさが残っている薄暮時間帯になぜ死亡事故が多いのか。その理由のひとつと考えられるのが、人間が感じる明るさと、実際の見え方のずれです。
JAFが過去に東京都内で測定した11月の晴天時の日没前後の照度は、日没30分前が2090ルクスだったのに対し、日没時には368ルクスまで低下。さらに日没3分後には、一般的な教室やリビングの推奨照度である300ルクスを下回る250ルクスまで落ちています。
太陽が地平線の下に隠れる日没の瞬間も、空には明るさが残っています。そのため、それほど暗くなったとは感じないかもしれませんが、JAFの測定では、照度は日没30分前から日没時までに約82%も低下しています。
曇天時はさらに早く暗くなります。JAFの測定では、日没30分前の時点で1130ルクス、日没時には156ルクスでした。曇天の日没時は、晴天時の日没約7分後に相当する暗さです。
警察庁の交通安全動画によると、徐々に暗くなる環境では、目が暗さに慣れたと感じていても、暗い場所で光を感じ取る網膜の「桿体(かんたい)細胞」は色を識別できず、細かな形を見分ける能力も高くないとのこと。人の目は、本人が感じている以上に見えにくくなっており、相手を見落としたり、見えていても距離や速度を誤ったりする可能性があるのです。
この動画では、秋冬は暗い色の服装が増えることに加え、疲労による集中力の低下や、薄暮時間帯と帰宅・退勤時間が重なることも事故の要因に挙げています。また秋冬は太陽の位置が低く、西日をまぶしく感じる時間が長い季節。秋の夕暮れは、歩行者の発見を遅らせる条件がいくつも重なる時間帯なのです。












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