エンジンと電気モーター両方で走るハイブリッド車ではなく、電気モーターだけを搭載する純粋な電気自動車BEVが、欧州メーカーを中心に続々登場している。
その裏には2021年以降は販売されたすべての新車の排出量平均を95g/km以下に収めることが求められる、厳しいCO2規制がある。
そのCO2の排出量規制をクリアするためには、BEVを大量に売らなければいけない。そのために欧州の自動車メーカーは、BEVオンリーのサブブランドを作って本腰で販売する動きが加速しているのだ。
すでにBMWはi、メルセデスベンツはEQというBEVのサブブランドを展開しているが、VWはID.という新たなBEVブランドを作った。
VWは、そのID.ブランド第一弾となるID.3の事前予約を2020年6月17日から欧州で開始すると発表した。
事前予約者には限定モデル「ID.3 1st Edition」が販売され、ドイツ本国での価格はベース車が4万ユーロ(約484万円)を下回る設定だ。9月上旬よりデリバリーが開始される。
さて、VWの新しいBEVはどんなモデルなのか? いつ日本に導入されるのか、解説していきたい。
文/ベストカーWeb編集部
写真/VW AG HONDA TESLA
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新たなVWの国民車のEVが生まれた
VWの新CEO、ラルフ・ブランドシュテッターによれば、BEVが主力になる時代が来ることを見据え、ID.モデル拡充のために2024年までに330億ユーロ(約4兆円)を投資し、2021年から年間最大33万台、2028年までに全世界でおよそ2200万台のBEVを販売する方針を打ち出している。
VWはこのID.3について、”3度目”の幕開けという表現を頻繁に使っている。3度目の幕開けとは何か?
一度目の幕開けとは、ヒットラーの国民車構想によってに生み出されたVWタイプI(ビートル)のことである。二度目は1974年に生まれたVWゴルフ。言うまでもなく世界をリードしてきた、国民車である。その意思を受け継ぐというのが、ID.3というわけだ。
2019年11月、ID.3の生産開始を祝う式典で演説した独首相メルケル氏はこう演説した。
「いま私たちは、まさにモビリティの新しい未来の途上にあります。EVがビートルやゴルフのように誰もが手に入れられるような存在になる。まさしく“国民車”(ドイツ語でフォルクスワーゲン)になるのです」とBEV普及への強い意欲を明言している。
VWといえば、MQBというモジュラープラットフォームが有名だが、ID.の第一弾となったID.3には、電動車専用に新開発されたMEB(モジュラーエレクトリックドライブ マトリックス)プラットフォームが使用され、モーターがギアボックスとともにリアアクスルに組み込まれ、後輪を駆動する。
ID.3のボディサイズは欧州Cセグメント、ほぼゴルフに近いサイズで全長4261×全幅1809×全高1552mm。
ちなみに日産リーフは全長4480×全幅1790×全高1540mm、テスラのなかで最もコンパクトなモデル3は全長4694×全幅1850×全高1540mmだから、直接的なライバルとなるのは日産リーフだろう。
1つ下のクラスになるが、ホンダの新型BEV、ホンダeの欧州仕様は全長3994×全幅1725×全高1512mmとなっている。
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