2017年上半期の国内販売ランキングで、発売から5年以上経過したホンダN-BOX(10万6231台/スラッシュとプラスを含む)が1位に輝いた。
2位はトヨタプリウス(9万1246台)、3位は日産ノート(8万4211台)。N-BOXは半年間で唯一の「10万台超え」達成だ。
N-BOXは、8月31日にモデルチェンジする「モデル末期車」。にも関わらず対前年同期比で販売台数を11%増やしている。
N-BOXのように、モデル末期でも魅力的な車は数多くある。それは、車の『売れ方』が変わったこととも関係しているのだ。
文:渡辺陽一郎/写真:編集部、Honda、Suzuki
『登場直後が売れる』時代から『ジワジワ売れ続ける』時代へ
N-BOXの一番の魅力は、車内が軽乗用車の中では最も広く、外観もミニバン風で洗練されていることだが、軽自動車の定番車種になったことも影響した。
ダウンサイジングの市場傾向もあり、同じホンダのフィットやステップワゴンから乗り替えるユーザーも多い。
最近は車が発売されて生産終了に至るまでの売れ方が昔とは違う。昔は発売直後に好調に売れて、その後に下がり、2年後のマイナーチェンジで少し盛り返し、そこから再び下がって4年後にフルモデルチェンジというサイクルだった。
ところが今は、好調に売れる車種は、発売から時間を経過しても売れ行きを落とさない。N-BOXはこの典型だ。
逆に不人気車は、発売直後から伸び悩み、そのまま売れずに終わる。海外市場向けに開発されたセダンは大半がこの売れ方になる。
中間的なパターンは、最初は不振に思えるが、長く中堅レベルの売れ行きを保つタイプ。ワゴンRやカローラがこの売れ方だ。
売れ筋ジャンルの変化で『モデル末期』でも人気に!?
売れ方のパターンが変わった理由は、車が珍しい存在でなくなり、日常的なツールになったからだ。
愛車の車検期間が満了に近づいた時に買い替える。目新しさにはこだわらず、用途や予算に合っていれば、発売から5年以上を経過していても購入する。
車の外観や走行性能、快適装備などが成長期を過ぎて、変わり映えが乏しくなったこともあるだろう。
昔はフルモデルチェンジすると外観が大幅に変わり、先代型が明らかに古く見えて購買意欲も高まった。
それが今はあまり変わらない車種が多い。N-BOXは次期型の外観をすでに公表したが、外観は現行型に近い。
売れ筋車種が実用重視の軽自動車/コンパクトカー/ミニバンに移ったこともあり、今は無理をしてもスグに買い替えたくなる車が減った。
モデルチェンジに伴う販売の増減も昔に比べると小さく、人気車、不人気車ともに売れ方が安定している。その意味でN-BOXは、今の市場動向を反映させた息の長い人気車だ。
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