ささいな言動であっという間に「炎上」してしまう現代社会。そんな上げ足取りが何になるのか……と思う人もいるだろう。しかし過去のクルマCMを見ると、そんな寛大な人たちも「さすがにこれはどうだ……」と思ってしまう問題作が!?
※本稿は2026年10月のものです
文:長谷川 敦/写真:トヨタ、日産、ダイハツ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2026年11月10日号
「私たち、主婦で、ママで、女です」(トヨタ パッソセッテ・2008年)
2008年に発売された超コンパクトミニバンに使われたのが上記のキャッチコピー。ターゲットが主婦層であることが明確にわかるという意味では優れたキャッチコピーといえなくはないが……。
だが、しかし。さすがにこれはストレートすぎだろう。「男らしさ」や「女らしい」などというジェンダー表現に疑問が持たれはじめた、21世紀に入った時代のコピーとは思えないものだった。
やはり……というか、独身女性や肝心の主婦層にもこのキャッチコピーに眉をひそめる人は多く、クルマ自体の「微妙な出来」もあってパッソセッテはすぐに販売終了になってしまった。
「美しい妻と一緒です。」(日産 レパードJ.フェリー・1992年)
一読しただけでは、クルマのために作られたというのが理解しにくいキャッチコピー。その意味は仕事や日常使いよりも、「休日に妻と一緒に乗るのがふさわしいクルマ」ということらしい。それを知れば、なるほど……とも思う。
実際に1992年発売のこのクルマは、それまでの日産 レパードシリーズとは趣を異にした高級セダンであり、曲面を多用したボディラインも従来の国産車にはない独特なものだった。
レパードJ.フェリーのターゲットは経済的に豊かな30代夫婦だったが、キャッチコピーの「美しい妻」に「引っかかり(違和感)」を覚えた人も多く、それが影響したのかは不明だが、販売成績は不振に終わった。
ジェンダー論が盛んで、ルッキズム(外見で差別する社会風潮)に批判の多い現代では、まず採用されないキャッチコピーだろう。
「お、パイザー」(ダイハツ パイザー・1996年)
ダイハツが1996年に発売したコンパクトトールワゴン。「パイザー」という車名はモンゴル帝国で使われた通行許可証の「Paizah」が由来。やや重厚系の車名だ。
そして、そのテレビCMには、かつて水着グラビアで一世を風靡したアグネス・ラムが起用され、そのCM中に出てきたセリフが「お、パイザー」だった。
もちろん、これはパイザーに驚嘆している言葉をコピーにしたものだが、「音(声)の響き」とCMタレントの容姿から考えて、「別の意味」を含ませていたことを想像するのは容易だ。
これも今ならアウト! の表現といえる。
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