ついにF1の決勝グリッドへ立った平川亮。ル・マン24時間やWECで実績を残してきたとはいえ、最高峰の舞台でいきなり何ができるのかは別の話だ。だが初めてのグランプリで見せた走りには、長年その実力を追ってきた立場から見ても唸らされる場面がいくつもあった! なぜ平川は「別格」なのか? ラップを追うと、その理由が見えてくる。
文:段純恵/写真:トヨタレーシング、ガズーレーシング、ハースほか
【画像ギャラリー】アノ興奮を再び!! 角田裕毅、岩佐歩夢に並ぶもう1人の日本人F1ドライバー平川亮選手の活躍をプレイバック!!(11枚)画像ギャラリーリザーブ緊急登板のF1で早くも見せた非凡さ
金曜夜、寝入りばなにかかってきた業界仲間の電話で平川亮(32)のF1電撃&正式デビューを知った。「平川ってどんなドライバー?」と訊くので、WECやF1のフリー走行を見て知ってるやろ? と言いたいのをグっとこらえ「F1、WEC、WRC、INDY等、私が見てきた数多のドライバーの中でもベスト3に入る、特に現役日本人では別格中の別格ドライバー」といつもの答えを返して電話を切った。
平川別格説を口にすると「そうか~?」と薄笑いを浮かべる人がいる。ル・マン24時間レースの勝者で世界耐久選手権チャンピオンといってもフォーミュラではタイトルを獲ってないでしょ? もう30歳超えでしょ? という反応だ。何年も業界のメシを喰っていてさえそうだ。展開を追うだけのTV中継やリザルトしか見る機会のないファンならなおのこと平川の真価は判り辛いかもしれない。
だが今回、平川の初めてのF1決勝レースを、課金等の労をとれば見られるラップチャートで追いかけたならば、誰もがその非凡さに目を見張っただろう。
初めて本気でアタックした予選は19番手。(注:FP1や2でリザーブ選手にアタックさせるチームなどない)周回ごとに着実にタイムを上げており、最後のアタックでの黄旗トラフィックがなければ、余裕でQ1突破を果たしたことは容易に想像できた。
初F1決勝で見せた「平川らしい」強さ

そして全ラップ全力疾走が求められる決勝は、チームメイトと戦略を分けてミディアムタイヤでスタート。序盤は慎重さが前に出て上位陣と比べるとラップタイムの上げ幅もそう大きくはなかったが、タイムがガクンと落ちることもなかっい。
接触や無駄にマシンを滑らせたり突っ込みすぎてタイヤをロックさせるといったミスがなかった証左だが、このWECでも求められるドライバーとしての重要な能力は、平川の際立った資質のひとつだ。
レース全体の状況を把握しながら自分の位置、マシン、タイヤの状態を冷静に判断し、すべてを計算しつつ周回を重ね、程よいタイミングでソフトタイヤに交換すると、平川の走りとペースは一層力強くなった。
赤旗中断の前も後も巧みなタイヤマネージメントでいわゆる『タレ』や『落ち』に関係なくタイムを削り、コーナーごとに前を行くライバルとの差を詰め、最後はウィリアムズの2台を完璧なパッシングで抜き去って13位でゴール。上位3台のペナルティによって10位に繰り上がった平川は、初出場のグランプリで初ポイントを獲得した。












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