現在の軽自動車市場において、「両側電動スライドドア」は絶対条件とも言える装備となっています。事実、新車販売ランキングの上位は N-BOXを代表とするスーパーハイトワゴンが独占しています。そうした中、後席ドアに一般的な「ヒンジドア」を採用しているスズキ・ハスラーが、スライドドアを備える日産・ルークスに迫る販売台数を維持し続けているのはなぜでしょうか。「スライドドアがないと売れない」という定説を覆し、ハスラーが幅広い層から選ばれ続ける理由について、徹底解説します。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部、スズキ
【画像ギャラリー】スライドドアなしでもルークスに肉薄!! ハスラーが軽ファミリー層を魅了し続ける「決定的な勝因」(17枚)画像ギャラリーハスラーはスライドドアを装着しないのに、販売台数がルークスに迫るほど多い
2026年1〜9月の国内販売データを見ると、新車として売られたクルマの36%を軽自動車が占めた。さらに軽乗用車については、半数以上が全高を1700mm以上に設定して、後席側にスライドドアを装着するスーパーハイトワゴンになる。
各メーカーの開発者は「今の軽自動車では、スライドドアを装着しないと、好調に売るのは難しい」という。スライドドアは、ドアパネルが開閉時に外側へ大きく張り出さないため、狭い駐車場でも乗り降りしやすい。スライドドアに電動開閉機能を備えた車種も多く、子供を抱えている時の乗降性も良い。
今では軽自動車販売ランキングの上位に入るホンダN-BOX、スズキスペーシア、ダイハツタントなどは、すべてスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンだ。またダイハツムーヴキャンバスやスズキワゴンRスマイルは、全高が1600mm台に収まる軽自動車だが、後席側にスライドドアを装着する。
ただし例外もあり、スズキハスラーは後席側のドアも前席側と同じ横開き式で、スライドドアを装着していない。それでも2026年1〜9月の1か月平均届け出台数は約7600台と多い。スライドドアを備えたスーパーハイトワゴンの日産ルークスが1か月平均約8500台だから、ハスラーは横開きドアなのに突出して多く売られている。
ハスラーはなぜ人気が高いのか。そこには複数の理由がある。まず外観を販売が好調なSUV風に仕上げたことだ。ヘッドランプは丸型で個性があり、水平基調のボディはシンプルで馴染みやすい。
そしてベーシックな(マイルド)ハイブリッドGには、上級の(マイルド)ハイブリッドXとは違うオシャレな雰囲気もある。ハイブリッドGで、ルーフをベージュに塗装した2トーンボディカラーを選ぶと、スチールホイールもベージュに塗装されてカジュアルに仕上がる。
パッケージングが素晴らしい
室内空間は、スペーシアなどのスーパーハイトワゴンほどではないが十分に広い。身長170cmの大人4名が乗車した時に、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ半だ。頭上にも余裕がある。
シートアレンジはスペーシアなどのスーパーハイトワゴンと同様に充実しており、後席も前後スライドが可能だ。後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、床の低い平らな空間が広がる。しかも後席のスライドと座面の昇降機能は、両方とも左右独立式だ。全高が1700mm未満の軽自動車で、このような多彩なアレンジを可能にするのは、ハスラーやワゴンRなどのスズキ車に限られる。
荷室の造りにも注目したい。荷室の床などには汚れを落としやすい素材が使われ、アウトドアグッズなどを積んだ後の清掃もしやすい。荷室にはユーティリティナットも備わり、フックを取り付けて水筒などを引っ掛けることも可能だ。
収納設備も豊富で、助手席の前側には、上からアッパーボックス、トレイ、グローブボックスが装着される。助手席の下には大型アンダーボックスも備わり、ハンドルが装着されているから車外へ持ち出せる。
以上のようにハスラーは、全高が1700mmを下まわりスライドドアも装着していないが、居住性やシートアレンジなどの実用性は高い。しかも外観はSUV風でカッコイイ。そのためにスーパーハイトワゴンでなくても販売は好調だ。
ハスラーの人気について販売店は以下のように述べた。「ハスラーが好調に売れる理由は、独身のお客様からファミリーまで、年齢や性別を問わず高い人気を得ているからだ。スペーシアはファミリーカーの印象が強いが、ハスラーはデザインもカッコ良く、独身のお客様も馴染みやすい。その一方でハスラーは車内も広く、後席にチャイルドシートを装着する用途にも対応できる。スライドドアは不要だと考えるお客様も、ハスラーを選んでいる」。
このようにハスラーは、幅広いユーザーに受け入れられて販売も好調だ。スペーシアやN-BOXとは逆に、スライドドアを装着せずに独自の魅力を追求したことが人気を高めている。
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