初GPでポイント獲得! 速さだけじゃない平川亮の真価
コーナーを攻め周回を重ねるごとに現れる初めての領域に果敢に挑戦し、培った経験を活かしてことごとくクリアさせたことを、誰よりも平川自身が喜び達成感に輝いていた。これだけの内容の仕事を初めてのGPでやり切った代役、いやレギュラードライバーでも、どれだけいただろう。
筆者が直接取材した中で思い出すなら、F・アロンソ、K・ライコネンそしてM・ウェバーあたりだろうか。たった一戦だけで判断するのはどうかと思うが、恐らく平川なら、WECでそうだったように、実戦を重ねるごとにその実力をあますことなく発揮していくに違いない。
平川が決勝で最初に履いたミディアムタイヤだが、実はオーバーヒートがでて大変だったらしい。それでも周回ごとに速さを増していったこともさりながら、オーバーヒートの理由について不満や泣き言を一切口にしないところがいかにも平川らしい。
スーパーフォーミュラ時代もチームのヤラかしで順位どころかレースそのものを落としたこともあったが、平川の口からチームや誰かを責めるような言葉はただの一度も聞いたことがない。
F1への細い糸を手繰り寄せた! 再びチャンスは訪れるか!?

レーシングドライバーなら誰もが一度はグランプリを夢見る。平川もル・マンで勝とうがWECでタイトルを決めようが、F1への思いが胸から消えることはなかった。WECで戦うようになっても、あるのかないのか定かですらないF1への細い細い糸を手繰り寄せる努力は惜しまなかった。
節制した日常生活で身体を鍛え、いかなるマシン、いかなる条件でも速くミスなく走るための経験の引き出しを増やし続けた。そんな姿が一度はF1の場から引いたトヨタ・レーシングの心を動かし、ハースとの提携につながったのだと筆者は思っている。
今季F1は残り4戦。ドライバーズ選手権がかかっているWEC最終戦と日程が重なるブラジルGP以外の3戦に平川が出場する可能性はあるのだろうか。F1における契約の細かさと厳しさ、動く金額の大きさは他カテゴリーと比べても並外れている。その一方で、ある条件が加わると「なんでもアリ」に変容することもまた、F1で何度か目にしている。
平川の夢が再び実現するかどうか、いまは静かに見守りたい。
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