ホンダが北米中心に展開する高級車ブランド「アキュラ」のフラッグシップシップセダン「RLX」が、2020年モデルを最後に廃止することが決定。
RLXは北米版のレジェンドともいえるモデルで共通する部分は多い。アキュラの看板ともいえる最上級車はなぜ消えなくてはならないのか。
そして、姉妹車でもある「ホンダ・レジェンド」の運命は如何に!?
文:大音安弘/写真:ACURA
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■アキュラと共に生きた高級車
日本車メーカー初の現地工場の設立など、米国で積極的な展開を図ってきたホンダは、1984年2月、米国を席巻する欧州高級車と対抗すべく、新しいラグジュアリー&パフォーマンス部門の設立を決定。それが後の「アキュラ」である。
1986年3月27日、日本車初となる高級車ブランドとして販売を開始。最初のラインナップは、インテグラとレジェンドの2台が選ばれた。
1987年春に投入されたレジェンドクーペは、モータートレンド誌のインポートカーオブザイヤーを受賞。インテグラも次点に選出されるなど、新規参入ながら、アキュラは高い人気を誇った。
それは数字にも表れており、レジェンドが1988年から6年連続で米国最多販売の高級輸入車となっている。まさにアキュラの立役者だったのだ。
1996年2月のフルモデルチェンジで、3代目となるレジェンドの名称を「RL」に変更。2004年11月には、SH-AWDを採用した2代目RL(4代目レジェンド)へと進化。
■アキュラRLXとレジェンドの違いは?
そして、2013年3月には、名称をRLXへと変更した新型車を投入。これが日本では、2014年10月に発表された現行型の5代目レジェンドであった。このように、名称は変化したものの、レジェンドのアキュラ仕様として、フラッグシップセダンの大役を担ってきた。
RLXとレジェンドは同じ高級車とあって、基本的には共通だ。ただ日本では、3モーターハイブリッド+4WD機構の「スポーツハイブリッドSH-AWD」のみであるのに対して、高級セダンのニーズが高い米国では、3.5L・V6エンジンのFFモデルも用意。
もちろん、単なるFF仕様でないのが、アキュラらしいところで、P-AWS(Precision All-Wheel Steer)と呼ぶ4WS機構を与えることで、コーナリング性能や走行安定性など走りにも磨きをかけている。
また、最新仕様では、オートマチックトランスミッションを6速から10速へとバージョンアップさせるなど、単なる廉価仕様ではない拘りを見せた。
■2020年モデルでアキュラRLXはラストモデルに
長年、アキュラの歴史を支えてきたRLXだが、厳しい現実を突き付けられたのは2020年5月のこと。アキュラは、RLXが2020年モデルを持って廃止することを公表。イヤーモデルの切り替えは、秋頃となるため、RLXの販売はラストセール中となっている。
米国ホンダによる最新情報によると、RLXの7月の販売台数は134台。2019年8月~2020年7月の累計販売台数は、前年比マイナス25%となる536台に過ぎない。かつてのベストセラーにとってあまりにも厳しい現実だ。
現在、米国でのアキュラの販売は、6万9066台(※)。コロナ禍の影響もあり、前年比20%ダウンとなっている。その主力となるのがSUVで、全体の約7割を占める。
一方セダンでは、ミッドサイズの「TLX」がダントツの人気となっており、モデル末期にも関わらず、1万1300台(※)を販売している。これらの成績を比べると、リストラも止む無しというのが現実なのだ。
※2019年8月~2020年7月の累計販売台数
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