「小型車をなるべく安く買いたいが、安全装備は相応に装着したい」。このようなニーズでクルマを選ぶ読者諸兄も多いだろう。今は車内が広い背の高い軽自動車が人気だが、高速道路や峠道を走る機会が多いと、全幅に余裕のある小型車が安心できる。
そこで注目されるのが、1Lから1.5Lのエンジンを搭載するコンパクトカーだ。全高が1550mm以下の車種は、低重心で安定性も優れ、立体駐車場を使いやすい。全長が4m前後なら、混雑した街中でも運転しやすい。しかも価格が安く、背の高い軽自動車と同等だ。
該当車種は、2020年2月に登場したトヨタ「ヤリス」とホンダ「フィット」、2016年登場のスズキ「スイフト」、2014年のマツダ「マツダ2」などがある。これらの車種は、ノーマルエンジンを搭載するベーシックなグレードを150~160万円に集中させている。
コンパクトカーは販売が好調でライバル競争も激しく、価格を比べて選ぶユーザーが多い。価格にシビアな法人が営業車などにも使うから、メーカーも緻密に設定している。その結果、ベーシックなグレードが150~160万円の狭い価格帯に集まった。
そこで今回は、この価格帯に属するコンパクトカーのベーシックグレード4台をガイドしたい。運転しやすく、安全装備の充実した車種も選べるので(一部メーカーオプションを装着する必要が生じる)、初心者から高齢者まで幅広いユーザーに適している。
※編集部注:タイトルの”素うどん的”クルマとは、豪華装備てんこ盛りのグレードではなく、ベーシックグレードながら求められる装備をしっかり搭載しており、何より走って楽しいクルマのことを指す。
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、MAZDA、SUZUKI、編集部
※ホンダ「フィット」の衝突被害軽減ブレーキに関して、『「N-BOX」や「N-WGN」と違って自転車を検知できない』と記述しておりましたが、読者からのご指摘で、正しくは『歩行者だけでなく、夜間での検知や、自転車にも対応』であることが確認されました。そのため本文を修正しました。申し訳ありませんでした。(2020.9.30 14:30)
【画像ギャラリー】200万円以下でも満足度高し! ”素うどん的”コンパクトカー4台を詳しくチェック!!
■トヨタ ヤリス1.5X(159万8000円)
好調に売れるコンパクトカーのなかでも、特に人気の高い車種がトヨタ「ヤリス」だ。2020年2月に発売され、4・5・7・8月は、小型/普通車の登録台数1位になった。従来型の「ヴィッツ」に比べると、1.5Lのノーマルエンジンとハイブリッド、プラットフォームなどを刷新している。
その結果、走行安定性、操舵した時の手応えと車両の反応、乗り心地などが大幅に進化した。後輪の接地性が優れているから危険回避時でも挙動を乱しにくく、車両の動きも正確だから、操舵角の小さな高速道路の車線変更でも進路を乱しにくい。運転の楽しさと併せて、安全性を高めた。
1.5Lエンジンは、直列3気筒でもあるからノイズは少し耳障りだが、実用回転域の駆動力に余裕があって運転しやすい。「1.5X」はWLTCモード燃費も21.6km/Lと良好だ。
街中が中心の使い方なら、従来のヴィッツが搭載していた1Lエンジンを選ぶ手もある。1.5Lに比べて動力性能が下がり、燃費も少し悪化するが、価格は14万3000円安い。
安全装備の衝突被害軽減ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車を検知する。自車が右折する時にも、直進車や横断歩道上の歩行者を検知してブレーキを作動させるため、安全性がコンパクトカーのトップ水準に達した。
安全性をさらに高めるなら、オプションのブラインドスポットモニター+リヤクロストラフィックオートブレーキなど(10万100円)、パノラミックビューモニター(4万9500円)も装着したい。
安全に関する注意点は、サイドウィンドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから、後方視界が悪いことだ。縦列駐車などを行って確認したい。実用面では後席の足元空間が狭いので、居住性も確かめる。
14インチタイヤの「X」は、転がり抵抗を抑えたタイヤを装着して、指定空気圧も前輪が250kPa、後輪は240kPaと高いから乗り心地も硬めだ。これらを確認して不満がなければ選ぶ価値も高い。
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