2020年9月25日に新型フェアレディZプロトが公開され、新型フェアレディZの誕生が確実になった。
その一方で、トヨタ86&BRZのようなコンパクトなFRクーペが日産にもあっていいんじゃないかという声も聞かれる。そう、かつてのスペシャルティ、シルビアの復活である。
しかし、日産にはそんな悠長なことはいってられない事情がある。日産が2020年5月に発表した2020年3月期の連結決算は、純損益が6217億円という11年ぶりの巨額赤字を計上したのだ。
この状況下のなかにあって新型フェアレディZを復活させただけでも凄いのに、シルビアも……となると、もう無理ではないだろうか? それとも経営状況が好転すれば復活する可能性はあるのだろうか?
これまで幾度となくお伝えしてきたが、何度もすみません。どうしても次期シルビアがある……と情報を信じたいもので……。
そこで、長年ベストカー本誌でスクープ企画を担当してきた、宇井弘明氏がシルビアの復活はあるのか、現在の状況を徹底レポートする。
文/宇井弘明(元ベストカー編集局長)
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 日産
CGイラスト/ベストカー編集部
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リーマンショック前までは動きは確実にあった
これまでベストカー本誌、ベストカーwebでも次期シルビアに関して長い間レポートしてきたが、なかなかその実像を捉えきれていない。というか本当にあるのか、という声も当然聞こえてくる……。
日産が新型フェアレディZを発売することで、ここ十数年の国内マーケットに冷淡だったイメージを払拭させ、過去の日産ファンを再び呼び戻す狙いがあるのだろう。
この新型フェアレディZに続き、多くのファンがいたシルビアのような過去の名車を復活させることがあるのだろうか?
もう時効(という表現が正しいかどうかはわからない)だと思うが、ベストカー本誌でスクープページを担当している頃、自動車メーカーの極秘資料を何度も見てきた。
そのなかには2002年8月のシルビア生産終了後に計画されていた2LクラスのFR車のエンジンとシャシーの設計CADデータを確かに見たし、とある開発関係者から話も聞いた。
自動車メーカーであるから先行開発として、あらゆる可能性を想定して、いろいろな図面を作り、ターボの配置、吸排気ユニットの位置、それによる予想性能などの研究をしていただろうから、そのなかの一つだったのかもしれない。
直前の2005年の東京モーターショーでは、初代シルビアのデザインを彷彿させるショーモデル「フォーリア」が飾られ、いよいよシルビア後継車の動きが真実味を帯びてきたように感じたものだ。
そのモーターショーで、テリー伊藤さんと一緒に中村史郎日産自動車デザイン本部長(当時)に話を伺った時も、こういうFR車を出していきたいと語っていた。
実際、この図面を見た頃、日産の開発陣のなかには強く市販化を押すグループがあったという話も漏れ伝わってきていた。
また同年のデトロイトショーでは「アズィール」と2ドアクーぺのコンセプトを立て続けに公開したのだ
残念ながら、リーマンショックとともにこの計画は頓挫することになったといわれるが、その後もモーターショーで日産はこのクラスのFR車に興味があるような演出を続けてきている。
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