令和の「シーマ現象」再び!! 半年前から相場が2倍以上!

 過日、俳優の伊藤かずえさんが所有する「初代日産シーマ」がネット上で大きな話題を呼んだ。

 伊藤さんが自身のインスタグラムに「シーマに乗り始めて今月で30年。今日一年点検してもらったら日産スタッフの方におめでとうございますとお花を頂きました。ありがとうございます」と写真付きで投稿したことに対し、「マジか? 伊藤さん、凄い!」「○○○○ではなく伊藤さんが日産のCMに出演するべき!」など、伊藤かずえさんの偉業(?)とシーマ愛を大絶賛するコメントが多数寄せられたのだ。

 さて、伊藤さんが30年愛したシーマとはいったいどんなクルマなのだろうか? 

 そして、この話を聞いてぜひ乗ってみたいと思った方のために、今どのくらいで買えるのか? 中古車事情に詳しい伊達軍曹が、初代シーマ専門店に直撃取材!


文/伊達軍曹
写真/日産自動車 伊達軍曹

【画像ギャラリー】シーマ現象を巻き起こした魅力は何だったのか? 発売当時のシーマの写真をチェック!


1988年1月に発売されるやシーマ現象を巻き起こす

1988年1月~1991年7月まで販売された初代シーマ
ボディサイズは全長4890×全幅1770×全高1400mm。今見ても優雅なデザインだ

 俳優の伊藤かずえさんが新車で購入し、2020年10月で初度登録から丸30年が経過した初代シーマは、すでに走行26万kmを超えているとのこと。

 伊藤さんの場合、最近は近所での買い物にしか使っていないそうだが、それでも「30年前のセダン」というのはごく普通に使えるものなのだろうか? 

 というか初代シーマの中古車ってまだ流通しているのか? 純正部品はまだ供給されているの? ……等々の疑問が湧いてしまったため、そのあたりの現状を専門店に尋ねてみることにした。

 だがその前に初代日産シーマというクルマ自体について、ごく簡単にだが“復習”しておこう。

 スペイン語で「頂上」を意味するシーマが発売されたのは1988年(昭和63年)1月。

 開発の基本コンセプトは「日本的な味を持った世界に通用する新しいビッグセダンを作る」というもので、デザインから性能、乗り味に至るまでのすべてにおいて「最高」を目指すべく、従来のさまざまな制約を取り払ったうえで開発が行われたという。

 プラットフォームは前年に登場したY31型セドリック/グロリア用がベース。ホイールベースはセド/グロと同一だが、シーマには3ナンバー専用の4ドアハードトップボディが採用された。

バブル期に発売されただけにシーマのコクピットは先進的で豪華な印象

 またインテリアも空間的な広さだけでなく、「視覚・触覚的に柔らかで上質なテイスト」で統一されている。

 エンジンは3L、V6DOHCで、タイプIとタイプIIには自然吸気のVG30DE型、タイプII-SとタイプIIリミテッドには新開発のターボエンジン「VG30DET」を搭載。

 VG30DETが発生した255ps/35.0kgmというパワー&トルクは当時「国産乗用車最強」。

 フル加速時、車体後端を目いっぱい押し下げながら加速していく初代シーマの姿に、当時の男たちは胸踊らせたものだ。

 サスペンションはY31セドリック/グロリアと共通だが、車幅拡大に合わせたさまざまなチューニングがされており、ターボ車にはリアビスカスLSDを標準装着。

 またタイプIIと同リミテッドには、ソフト/ミディアム/ハードという3種類の切り替えが可能な電子制御エアサスペンションが採用された。

10台以上ストックする初代シーマ専門店に直撃取材!

神奈川県秦野市にある初代シーマ専門店、ファイブスターテクニカル

ファイブスターテクニカルのホームページはこちらをクリック!

 初代シーマの概要を理解していただいたところで、今、初代シーマはおおむねいくらで販売されているのだろうか?

 現在、中古車の流通量はおおむね全国で40台前後、その相場は下が約60万円といったところで、最高価格が約300万円となっている。250万円オーバーになると、走行距離2万~3万kmの1オーナー車という個体もみることができる。

初代セドリックシーマの中古車情報はこちらをクリック!

 さて、さらに初代シーマの“現在地”を知るためにやってきたのは、神奈川県秦野市の『ファイブスターテクニカル』。

 取材日時点で初代シーマを10台以上ストックし、さらには2代目ソアラやS13型シルビア、はたまたX70系マークIIなどの“上物”を多数ストックしているため、その展示場はほとんど「昭和車のテーマパーク」と化している(?)中古車販売店だ。

――ということでファイブスターテクニカルの高橋一也さんにお尋ねします。伊藤かずえさんが初代シーマに新車から30年間乗り続けていることがニュースになりましたが、初代シーマって、そんなにフツーに乗り続けられるクルマなんですか?

高橋一也さん もちろん30年も前の機械ですので、今のクルマみたいに「ほぼメンテナンスフリーで数年間乗れちゃう」みたいなクルマではありません。

 しかし各部のコンディションとメンテナンス履歴が良好な個体であれば、決して手がかかりまくるクルマではないと思いますよ。

――でもエアサスはさすがにちょっと心配だったりもしますが?

高橋さん そうですね。まぁあれも決してしょっちゅう壊れるものではないのですが、やはり経年によって必ず壊れる部位ではあります。

 ですから、もしもこれから初代シーマをお買い求めになるのであれば、エアサスの状態と修理履歴はしっかり確認するべきです。また、それでも壊れてしまった場合には「普通のバネサスに換える」という選択肢もあります。

――あ、そうか。その手がありましたね!

高橋さん 新品のエアサスは1本7万~8万円ぐらいしますし、そもそも最近は入手困難です。

 「じゃあ中古のエアサスを使うか」となっても1本2万〜3万円ぐらいしますし、なおかつ中古品ですから、またすぐに壊れてしまう可能性もゼロじゃない。ならば、いっそ金属バネの車高調に替えてしまったほうがよかったりもするんです。

――車高調だったら、交換費用もそこまで高くはなさそうですね?

高橋さん そうですね。あくまで概算ですが部品代が15万円ぐらいですので、工賃込み20万円ぐらいでイケるでしょう。

――エアサス以外はさほど神経質にならなくても大丈夫なものですか?

高橋さん 弊社の場合はそもそも「低走行の良質物件」だけを厳選して仕入れているので、基本的にはそのとおりなんですが、一般的にはボロい個体も多いですよ。特に内装がヒドいものが多い。

 シーマだけじゃないんですが、この年代の日産車って保管状態が悪いと、エアコン吹き出し口の樹脂がドロドロに溶けるんですよ。例えば、ウチが仕入れたのではなく下取り車として入ってきたこのシーマ、見てください。

このようにあまり程度のよくない個体もあるという

――うわっ! エアコンルーバーの最上段が本当にドロドロだし、内装の縁はめくれ上がってるし、シートは太陽光で謎に焼け焦げてるし……ちょっとひどいですね。

高橋さん こうなってしまった個体は直すのが本当に大変ですので、手を出さないほうがいいでしょう。弊社では部品取り車として役立てます。

平成2年式セドリックシーマタイプIIリミテッドAV、走行距離5.3万km、138万円
希少なデジタルメーターを装備

――ところで日産の純正部品ってまだ出るんですか?

高橋さん 出るものも一部ありますが、多くは廃番になってますね。

――そんな状況下で、御社のお眼鏡にかなう初代シーマ、つまり「仕入れるに値する初代シーマ」の数というか割合って、だいたいどのぐらいなんでしょうか?

高橋さん うーん、オークションや買い取りなどで出てくる全体を10だとしたら……せいぜい1か2ですね。いい個体が出てきたら必ず仕入れるようにしてますが、その数は極端に少ないですよ。

――そうなってくると、仕入れ相場もけっこう高騰しちゃうんじゃないですか?

高橋さん そうなんですよ……。2020年3月ぐらいまではまあ普通といえる値段で買い付けることもできたのですが、ここ最近のオークション相場は半年前の2倍以上になっちゃってますからね。

――ううむ、それこそが「令和のシーマ現象」!

高橋さん いや、「うまいこと言ってやった」みたいな顔をされてますが、仕入れ値が倍ぐらいになったのは初代シーマだけじゃないんです。

 2代目ソアラもそうですし、S13シルビアのK’sの5MTも凄いことになってます。もちろん全部の個体が高いわけではないのですが、内外装のコンディションと整備履歴がしっかりしている人気モデルの人気仕様は今、思いっきり高騰してしまっているというのが現実です。

――こういったモデルの相場って、将来的にも延々と上がり続けるんですかね……?

高橋さん 未来のことはわかりませんし、なんとも言えません。しかし、少なくとも下がることはないのではないかと、個人的には思っています。

 良質な個体の数が日々減少していっているという事実と、「それでも素敵な旧車が欲しい」と思ってらっしゃるお客様各位の“熱”を掛け合わせて考えると、「相場が極端に下がる」という未来は見えないんですよ。

――まぁクルマの購入というのは資産価値うんぬんで考えるものではなく、「好きか嫌いか」でき決めるべきものだとは思いますが、それでも、もしも本気でこの手の車が欲しいなら、早めに決断したほうがいいのかもしれませんね……。

高橋さん そうですね。好きでもない人が無理に買う必要はありませんし、コンディションのよろしくない個体は絶対に買うべきではないとも思います。

 しかし本当にお好きな人が、もしもコンディションと素性の良い個体と巡り合うことができたなら……、まぁ早めにお持ちになっておかれたほうが良いかとは思います。

押忍、了解です。本日はお忙しいなか、ありがとうございました。また内装がこれだけキレイな初代シーマって、かなり久々に見た気がします。いいモン見せていただきありがとうございました!

初代グロリアシーマの中古車情報はこちらをクリック!

【画像ギャラリー】シーマ現象を巻き起こした魅力は何だったのか? 発売当時のシーマの写真をチェック!


■初代セドリックシーマ タイプIIリミテッド 主要諸元
・全長×全幅×全高:4890×1770×1400mm
・ホイールベース:2735mm
・車両重量:1640kg
・エンジン:VG30DET型2960㏄、V6ターボ
・最高出力:255ps/6000rpm
・最大トルク:35.0kgm/3200rpm
・タイヤサイズ:205/65R15
・436万5000円