年末年始の風物詩といえば、長〜い渋滞。今年もTVの画面に“お決まり”の車列が映し出され、あるいは実際に、その渋滞に突入し、年末年始を実感した方もいるだろう。
いっぽうで「最近、渋滞減ったよね」と語るのは、毎年東名高速を使って東京から静岡県内の実家へ帰省するという50代の男性だ。
筆者のまわりでも、「体感として年末年始の渋滞が減った」という声は、ここ数年で確実に増えている。実際はどうなのか? 渋滞予報士に聞いた。
文:ベストカーWeb編集部/写真提供:NEXCO中日本
10km以上の渋滞発生回数は10年前から3割減
【図1】は、東名高速道路などを管轄するNEXCO中日本が公表したデータだ。2017年の実績を見ると、10km以上の渋滞回数は65回。
いっぽう10年前、2007年の渋滞回数は10km以上で98回。10km以上の渋滞は、ここ10年で3割以上も減少していた。
なぜ、渋滞は減ったのか? その理由を探るべくNEXCO中日本で高速道路ドライブアドバイザーを務める花房秀樹氏に取材。
ドライブアドバイザーは、高速道路の渋滞予測を一手に担う、いわば渋滞予報士だ。同氏によると、意外なことに「交通量そのものは10年前とほぼ変わっていない」という。
交通量ほぼ不変でも渋滞が減った理由
NEXCO中日本管内でも最も交通量の多い東名高速の渋滞について、花房氏は次のように分析する。
「たしかに、ここ10年でみると東名の渋滞は減っています。これは、東名の交通量が新東名に移行したことによるものです。ただ、実は東名と新東名を合わせた交通量は、東名しかなかった以前の交通量よりも増えています」
現在の新東名は静岡県の御殿場JCTが東端。東名と新東名のダブルネットワークとなっている御殿場~名古屋間では10年間で渋滞が減少したという。
いっぽう、新東名が未開通の海老名~東京間の交通量は横ばいで推移していると花房氏は解説する。
東名以外の主要高速道路はどうか? 花房氏は「ここ10年で渋滞が大きく減ったわけではありません」という。
ちなみに、NEXCO中日本管内の年末年始最長渋滞ワースト3(【図2】)は、東名がほぼ独占。
つまり、東名の渋滞が緩和したことで、全体の交通「量」は、変わっていないにも関わらず、主要高速道路全体の渋滞「回数」は減ったというわけだ。
それだけではない。実は年末年始の渋滞における「混み方」も、ここ5年ほどで変わっていた。
コメント
コメントの使い方