「2030年代半ばには(日本国内の)すべての新車をハイブリッド車(HV)か電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)にする方向で調整中」との報道から、2か月。世界的には「脱エンジン」の流れにある中で、日本ではハイブリッド車は守られる流れにあり、多少ほっとしたところではある。
しかし、もし世界的の潮流に合わせて「脱エンジン」をしなければならなくなったとき、「すべての新車」という部分で最も厳しいのは、おそらく「軽トラ」だ。
日本の物流を支えている小さな力持ち、軽トラ。軽トラのEVは登場するのだろうか。考えてみようと思う。
文/吉川賢一
写真/SUZUKI、DAIHATSU、HONDA、MITSUBISHI、TOYOTA
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■軽トラックは、実はめちゃくちゃ売れている!!
まず初めに、軽トラックは日本国内でどのくらい売れているのかまとめた。2020年と2019年の販売台数を下記に示したのでみてほしい。
その結果は、軽トラカテゴリで1位のダイハツ・ハイゼットトラックは年間7.5~8万台(軽全体では7位)、カテゴリ2位のキャリイも5.5~6万台(同16位)と、販売台数としては、実はものすごく売れている。
ちなみに軽全体で7位というのは、日産ルークス(10位)、ホンダN-WGN(11位)、ワゴンR(12位)よりも上。しかも、2019年の年間約18.2万台に対し、コロナ禍直撃の2020年は17.5万台と、大きく減少もしていない。軽トラを製造するスズキ、ダイハツにとっては、重要なカテゴリだ。
用途に合わせて機能や性能が最適化されている軽トラは、農業や水産業を営む上で、これほど合致したクルマはない。筆者の実家にも数年前まで軽トラがあった。畑仕事に行くときの足として、収穫した野菜を運ぶ貨物としても大活躍していた(重ステの4速MT車だったが、ドライバー高齢化のため手放した)。
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