クルマには多くのグレードが設けられるのが通例だ。そのなかで人気になるのは、発表直後は一番上のグレードで、その後徐々に上から2~3番目あたりなったりする。
しかし、クルマ好きに言わせれば「コレが一番いいんだよ!」というのが、意外かつ地味なグレードの場合もある。そういうグレードを見つけるのが、クルマ好きの醍醐味だったりする。
そこで、改めて価格表を睨み、「これだよ、これ!」という、シブいねらい目グレードを集めてみました。
文/清水草一、写真/ホンダ、マツダ、ルノー、編集部
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シビックハッチバック/6MT車
あまりの販売不振により、セダンがラインナップから消滅したシビック。現在は量産FF車ニュルブルクリンク世界最速を誇る「タイプR」と、その下の「ハッチバック1.5ターボ」の6MT&CVTという、たったの3グレードになっている。
そのなかでシブくオススメなのは、1.5ターボの6MTだ。王道はタイプRだけど、さすがにタイプRはホンモノすぎる! 存在が重い! 値段も高い! と感じる方もいらっしゃるはず。そんな方に是非お勧めしたいのがこちらです。玄人好みです。
そりゃまぁ、タイプRの320馬力には比べるべくもないけれど、それでも1.5ターボは182馬力もある! 6MTもあるんだよ! 充分というかちょうどいい速さだし、とっても楽しいよ!
見た目も「おとなしいタイプR」って感じで、迫力充分&適度にシブイ。タイプRが空力のカーニバル状態なのに比べると、ちょっと抑えたオトナのテイストですね。
お値段もタイプRより約200万円安い! この差はデカい! デカすぎる!
ロードスター 「S」
どれだけ価格表を睨んでも、一番安いグレードが一番オススメなのは、ロードスターだけだった!
現行ロードスターは、初代より小型軽量化を実現したという奇跡のクルマ。エンジンも初代の1600から1500ccへ、自然吸気のままダウンサイジングしている。こんなクルマは他にない。
そしてロードスターに乗ると、「これは遅さを楽しむクルマだ!」とひしひし感じる。ボディが軽いので決してそんなに遅くはないですが、低い速度でクルマを操る楽しみを見出すべきクルマなのです。言い方を変えると、「ゆっくり曲がっても挙動を楽しめるクルマ」なのですよ!
そんなロードスターは、最廉価グレードの「S」の6MTが断然ベスト! なぜって、これが一番ゆっくり曲がって楽しめるから!
理由は、まずはサスペンションが最もソフトで、姿勢変化が大きいこと。ハンドルを切るとすすすーっとたおやかなロールが始まり、スローなワルツを踊ってるみたい!
ところがひとつ上の「Sスペシャルパッケージ(6MT)」になると、途端に姿勢変化が抑えられて、なんだかフツーのスポーツカーっぽくなって物足りない。「RS」はもはや論外。
ロードスターは、「S」の6MTだけが、車両重量1トン切りの990kgに収められている。この軽さがまた効いている!
「Sスペシャルパッケージ」のATは、サスペンションは「S」と同じだけど、6MTに対して60kg重いし、駆動のダイレクトさも損なわれる。
ってことで、一番安いグレードがベストなんだから、これを選ばないテはなかろう!
と思うんだけど、やっぱり最廉価グレードはあまり売れていないらしく、中古車の流通台数を見ると、全体のわずか7%となっておりまする。
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