国産車のヴィンテージイヤーと呼ばれた1989年。トヨタ『セルシオ』、日産『スカラインGT-R』、スバル『レガシィ』といったこの年に登場したクルマは、現在のクルマ作りや日本のクルマ文化を大きく変化させた。
その中でも『ユーノスロードスター』は、「ユーノス」の人気を復権しただけでない。日本国内だけでなく、海外の自動車メーカーでも2シーターオープンカーを生産させるほどのカルチャーを築いたのだ。
ユーノスロードスターはマツダ『ロードスター』へと名称を変更するものの、後輪駆動の2シーターオープンカーというコンセプトを受け継ぎ30年以上その灯を消すことなく進化し続け、生産台数はギネスブックにも登録されている。
そこで今回は、世界的な2シーターオープンカーブームを築いたマツダ『ロードスター』の現行モデルの中古車事情について紹介する。
文/萩原文博
写真/MAZDA、編集部
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■古いから安いは当てはまらず! 高止まりの現行型に、価格上昇のNA型
現行型マツダ『ロードスター』は、2015年5月から販売開始したソフトトップを採用した『ロードスター』と、2016年12月より販売開始した電動開閉式のルーフを採用した『ロードスターRF』の2モデルを設定。
日本仕様に搭載されているパワートレーンは、ロードスターが1.5L直列4気筒エンジン+6速MT/6速AT。一方、ロードスターRFは2L直列4気筒エンジン+6速MT/6速ATとエンジン排気量が異なっているのが特徴だ。
販売開始以降、改良が加えられ、2018年6月の一部改良でロードスターRFに搭載されている2Lエンジンが高回転型にチューンされ、最高出力184ps、最大トルク205Nmにパワーアップ。同時にロードスターの1.5Lエンジンも燃料改善技術などが取り入れられ、最高出力が132ps(+1ps)、最大トルク152Nm(+2Nm)と数値は小さいものの、走行フィールは抜群によくなり、よりダイレクトな加速を味わえられるようになった。
ロードスターのようなスポーツカーは各世代にそれぞれファンがいる。その人気が中古車相場に反映されることが多い。一般的なクルマでは年式、世代が古いクルマほど安くなる傾向がある。しかし、ロードスターはその常識は通用しない。
2017年にマツダが、NA型と呼ばれる初代ロードスターのレストアサービス。そして2018年より復刻した約150点のパーツの再供給をはじめてエポックメイキングな初代ロードスターを永く乗れるように環境を整備した。そうした影響もあり、ロードスターRFを除いた歴代ロードスターの中古車の平均価格を見てみると、初代(NA型)が約127.6万円。2代目(NB型)は約66.8万円、3代目(NC型)は約101.8万円、そして現行型(ND型)は約223.8万円となっている、
年式の新しい現行型が最も高いのは当たり前だが、次いで高いのが初代で、ソフトトップとRHTと呼ばれる電動開閉式のメタルトップを採用した3代目よりも平均価格が高くなっているのだ。
こうして歴代モデルを比較してみると、現在最も手軽に手に入れられるロードスターはNB型ということになる。ただ、年式が進んでいて、コンディションは個体それぞれに差が出ているので、豊富なパーツを利用してレストア&チューニングが前提と考えたほうがよい。
ロードスターRFを除いた4世代分のロードスターの中古車の流通台数は約1050台。中古車の平均価格は約7万3000kmで、平均価格は3カ月前の2012年11月の約122万円から現在は約129万円まで値上がりしている。
現行型のND型ロードスターの中古車の流通台数は約300台で、平均価格は約223.8万円。中古車の価格帯は約139万〜約500万円とまだ100万円以下の中古車は流通していない。
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さらに見ていくと、400万円以上のプライスを付けている中古車は2019年に限定車として発売された「30周年記念車」となっている。中古車のグレード構成を見てみると、最も多いのが「Sスペシャルパッケージ」のMT車で、次いで「Sスペシャルパッケージ」のAT車そして「Sレザーパッケージ」のMT車となる。 BBSのホイールやブレンボのブレーキシステムを搭載した「RS」は少なめで、そのいっぽうでレッドトップやキャラメルトップといった特別仕様車の流通が目立つ。
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