積極的にニューモデルを投入しているトヨタ。
全体的な国内新車販売の落ち込みに加え、2020年初来のコロナ禍の影響などもあり、国内外自動車メーカーの商品戦略は大きな影響を受けている。予定されていたモデルチェンジの時期が大幅に遅れたり、計画されていたニューモデルの投入が見直されたり、凍結されたケースもある。
もちろんトヨタ自動車も少なからぬ影響を受けたことは事実だ。
先日新型が登場した『MIRAI』にしても、本来のデビュー予定は昨年夏、本来予定されていた東京オリンピックの時期であった。また、2019年の東京モーターショーで公開されたコンセプトカー『LQ』は、コンセプトカー然とした内外装の印象とは裏腹に、ほぼ完成形で、ナンバープレートを取得して公道での実走行テストが繰り返され、限定的ながら販売の計画があったものが凍結されている。
そのいっぽうで、このような状況にもかかわらず、『GRヤリス』をはじめ、2020年後半以降も力強くニューモデルを投入しているのもまたトヨタだ。底力を感じる。
ベストカースクープ班が掴んでいる今年のニューモデル投入計画をみても、アクアが7月、10月にはランドクルーザーのモデルチェンジが予定されていることが判明している。また86のモデルチェンジは来年に延びたというのが最新情報。このほか、本年末にはシエンタのモデルチェンジの情報もある。来年になるとノア/ヴォクシーが前半に、アルファード/ヴェルファイアのモデルチェンジが後半に計画されている。
こうした「既存車」のモデルチェンジに加えて、新規投入モデルにも意欲的な動きの情報がある。今回はそのそんなトヨタの進める新車戦略の最新情報をお届けしたい。
※本稿は2021年2月のものです
文/ベストカー編集部
写真/TOYOTA CG/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2021年3月26日号
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■トヨタが「GR」ブランドで進めるスポーツ戦略とは !?
スクープ班が早い段階でその存在を掴んでいたのが『カローラスポーツ』および『カローラツーリング』にGRヤリスのパワートレーンを搭載した“GRMN”だ。
改めてその開発状況を探っていくと、間違いなく開発は進行しており、来年、2022年中盤の市販を目標に開発現場は活況だという。
パワートレーンの基本はGRヤリスと同じで、専用開発された1618cc直列3気筒ターボエンジンにスポーツ4WDシステムを組み合わせたもの。最高出力272ps/6500rpm、最大トルク37.7kgm/3000~4600rpmのスペックも変更はないという。
パワートレーンはすでにGRヤリスで完成しているのだから、カローラに搭載するのに、なぜそんなに時間がかかるのか!? という疑問もあろう。
しかし、開発現場はGRカンパニーで、まずはGRヤリスの開発に専念していたこともあり、工数を考慮すれば同時並行開発は現実的ではない。また、ヤリスとカローラはプラットフォームも異なるため、シャシー開発にも相応の時間がかかる。さらに、生産現場の事情もある。1.6Lターボは専用開発で、生産現場でも専任の熟練工による組み上げなどの工程があり、一気に大量生産ができないのだ。まずはGRヤリスの生産を優先する必要があるのだ。
『カローラスポーツGRMN』は、3ドアハッチバックのGRヤリスとは異なり、5ドアハッチバックの車体で、後席居住性も高いし、荷室のサイズも広い。ここがGRヤリスとの最大の「棲み分け」ポイントなのだが、カローラスポーツGRMNはGRヤリスよりもカジュアルなスポーツハッチという位置付けのシャシーチューニングとなるという。ラリーマシンとしての資質も求められるGRヤリスに対し、カローラスポーツはあくまでもオンロードスポーツハッチとしての楽しさを追求する。
さらにこのパワーユニットを搭載するカローラツーリングの存在も確認している。『GRMN』を冠するのがネーミングの方程式だが、スクープ班が接触した関係者は「現場ではGT-FOURと呼んでいます」とも言う。以前、トヨタのミドルワゴンにあった『カルディナGT-FOUR』をイメージしての呼称なのだろうが、これが実際の車名として採用される可能性もある。ホットハッチ&スポーツワゴンの車種拡大が待ち遠しい。
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