日本で使うクルマとなると、やはり基本は5ナンバーサイズが便利だと私は考えます。それは、道路をはじめとして多くのインフラが5ナンバー車を規準に作られているからにほかなりません。
そうした5ナンバーのなかでも5ドアハッチバックのモデルは、さまざまな面で使いやすさを追求したモデルになっています。日本を代表する5車種の5ナンバーハッチバックの魅力を探っていきます。
文/諸星陽一 写真/ベストカー編集部
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■パワートレーンは5車種とも特徴があって多彩!
まず、今回サンプルとして取り上げることにした5台と、現行モデルのデビュー年を紹介しましょう。
●トヨタ ヤリス[2019年12月]
●日産 ノート[2020年11月]
●ホンダ フィット[2020年2月]
●マツダ 2[2014年9月、発表時の車名はデミオ、2019年7月にマツダ2に改名]
●スズキ スイフト[2016年12月]
この5台、実にパワートレーンが多彩です。
まず、もっとも販売期間の長いマツダ2です。マツダ2は2014年に4代目デミオとして登場したモデルです。
コンパクトモデルのなかで唯一となる1.5Lディーゼルエンジンと1.5Lガソリンエンジンの2種のパワーユニットが用意されます。このディーゼルエンジンをラインナップするところが、もっとも特徴的な部分といっていいでしょう。
WLTCモードで21.6~21.8km/L(グレードにより差がある)の燃費を誇るので、長距離を走る人にはかなりメリットがあります。この数値はATのもので、MTならば25.2km/Lとさらに高燃費を誇ります。ガソリンエンジンモデルにもMTが用意されますので、MT車でクルマを楽しみたいという人にも対応します。
スイフトは1.2L 4気筒エンジンを軸に、NAエンジンモデル、マイルドハイブリッドモデル、ハイブリッドモデルの3タイプを用意しています。エンジンの出力はすべて同一で91馬力、118Nmです。
マイルドハイブリッドの場合は3.1馬力のISG(モーター発電機)を装着、ハイブリッドの場合は13.6馬力のMUG(モーター)を装着しています。マイルドハイブリッドはエンジンアシストのみですが、ハイブリッドはEV走行も可能です。
基本のトランスミッションはCVTですが、NAエンジンモデルには5MTも設定。ハイブリッドはAGS(オート・ギヤ・シフト)と呼ばれる5MTベースのロボATが採用されます。ヨーロッパ車などにもロボATはありますが、このロボATはびっくりするほどよくできていて、クルマ好きなら乗っておく価値ありの逸品です。
フィットのパワーユニット構成はシンプルで、1.3LのNAエンジンと1.5Lエンジン+モーターのハイブリッドの2タイプとなります。トランスミッションは1.3Lがコンベンショナルなトルクコンバーター式AT、ハイブリッドは電気式のCVTです。
ハイブリッドのFFは27.4~29.4km/LのWLTCモード燃費を誇ります。このクラスの4WDはリアにアシストモーターを追加するタイプが多いのですが、フィットの4WDはフロントのエンジン駆動力をプロペラシャフトに伝える機械式で、アシストモーター式よりも高い駆動力を得ることに成功しています。
先代のノートはNAエンジンとシリーズハイブリッドのe-POWERの2本立てでしたが、現行モデルはe-POWERのみとなりました。エンジンは1.2L 3気筒で82馬力です。このエンジンで発電した電気を使って85kW(116馬力)のモーターを駆動して走ります。
エンジンがそのまま駆動力に使われることはありません。先代のe-POWERはアクセルを緩めると停止まで行えたワンペダル機構が付いていましたが、現行モデルではワンペダルは廃止となりました。
2020年12月には4WDモデルを追加しています。4WDはリアにモーターを追加したタイプですがリアモーターの出力は68馬力もあり、かなり力強い走りが可能となっています。普段の走りが静かなだけに、エンジンが始動すると3気筒的な振動はどうしても感じてしまいます。
ヤリスは1LのNAエンジン(69馬力/92Nm)、1.5LのNAエンジン(120馬力/145Nm)、1.5Lエンジン(91馬力/120Nm)とモーター(80馬力/141Nm)を組み合わせたハイブリッドがあります。ハイブリッドには5.3馬力/52Nmのアシストモーターがリアアクスルに装備された4WDモデルが用意されます。
NAエンジンモデルは1L、1.5LともにCVTを用意。1.5Lには6MTも用意、ハイブリッドは電気式のCVTとなります。今回紹介した各モデルのなかではもっとも出力の低い1Lエンジン搭載モデルも、びっくりするくらいよく走ります。
ヤリスもエンジンはいずれも3気筒で、独特の振動を感じるのがフィットなどとの大きな差となります。
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