キャデラックの新作、CT5の出来がよくてびっくりした。
よいと言っても、これまで散々アメリカ車に対して使ってきた「日本車やドイツ車にはないおおらかさがあって……」という苦肉のレトリックではなく、ホントによいのだ。例えばこれがメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズの新型だと言われても納得できるくらいによい。
大げさかもしれないが、生き馬の目を抜く自動車業界で次に覇権を握るのは、ほんの11年前に破綻したにもかかわらずV字回復を果たして見事再生したゼネラルモータース。
そしてEV専業という極端な戦法によって短期間のうちにベンチャー企業から株価世界一の大企業にまで登りつめたテスラのような新しい勢力が共存するアメリカなんじゃないかと思わせるものがあった。
Make America great againを可能とするのはトランプじゃなく自動車なのでは!?
文/塩見 智、写真/ゼネラルモーターズ・ジャパン
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■生まれ変わったアメリカン・セダン
冒頭からブーストがかかって話を広げすぎた。具体的にCT5がどうよいかを述べていきたい。CT5は従来のCTSのモデルチェンジであり、サイズは全長4925mm、全幅1895mm、全高1445mm、ホイールベース2935mm。メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズあたりとぶつかるサイズのセダンだ。
ホイールベースが長く、前後、特にフロントのオーバーハングが非常に短いため、実寸よりもかなりコンパクトに見える。
ロングノーズでキャビンがリア寄りにある典型的なエンジン縦置きのレイアウトだ。エンブレムと同じ形状の五角形グリルの両脇にある小ぶりなヘッドランプの両端からほぼ真下へ向かってデビルマンっぽいLEDのDRL(デイタイム・ランニング・ランプ)が伸びるのが面白い。
プラチナム(560万円)とスポーツ(620万円)の2グレードがあって、パワートレーンはどちらも2リッター4気筒ガソリンターボエンジン(最高出力240ps、最大トルク350Nm)と10速ATの組み合わせ。
ちなみにアメリカ車としては珍しくハイオク指定だ。プラチナムが後輪駆動なのに対し、スポーツは四輪駆動となる。
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