2020年6月に登場した4代目ハリアーが、破竹の勢いで販売台数を伸ばしている。
他のSUVと一線を画す、シンプルながらもエレガントさと逞しさが融合した流麗なクーペフォルムで、歴代ハリアーの中でも特に美しい、現行ハリアー。トヨタによると、クルマのポテンシャルをさらに磨きあげた上で、実用性や数値一辺倒ではない、人の心まで優雅に満たしてくれるようなクルマ作りを目指したそうだ。
国産から輸入車まで、ミドルクラスSUVが乱立しているなか、なぜハリアーは、ここまで支持されるのだろうか。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN
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たった1年で、約11万台を売り上げたハリアー
4代目ハリアーが登場した2020年6月は、コロナ禍による緊急事態宣言1回目(4月7日~5月25日)が明けたタイミングだ。延期されていた新車発表が続いていた中で、登場するや否や、一気に販売ランキング上位へと登り詰めた。デビュー直後の2020年7月は9388台を記録。その後も売れ続け、2021年8月までの月間平均登録台数は8024台、これまでに、およそ11万台が販売されている。
ハリアーの月販目標台数は3100台なので、その2.5倍以上のペースということになる。2019年に登場したRAV4も大いにヒットしたが、ハリアーはそれを上回る勢いで、現時点(2021年9月15日)も衰える気配はない。
ハリアーのようなミドルクラスSUVといえば、CR-V、フォレスター、CX-5、エクストレイルなど、多くの国産メーカーが自慢のSUVを投入しているジャンルであるが、ダントツでハリアーが売れている状況だ。
「ちょうどよい」上質感とサイズ
現行ハリアーがなぜここまでヒットしたのか、それにはいくつかの理由が考えられる。ひとつめは、「ちょうどよい上質感」を備えていたことだ。
エクステリアデザインは、実に流麗なプロポーションをしている。サイドガラスの上下幅が狭いことで、キャビンがクーペのようにも見え、フロントアッパーグリルからヘッドランプへと流れるようなシルバーラインが、精悍かつシャープな印象だ。二重のL字型に発光する、薄めでシャープな「シグネチャーランプ」は流行にのっており、ハリアーのチャームポイントのひとつだ。
インテリアの質感も素晴らしい。センターコンソールは幅広く、上質な革で覆われている。トヨタによると「馬の鞍」をイメージしているとのこと。インストルメントパネルとのつながりも左右対称のように見え、すっきりとしている。ダッシュボードに使われている素材の質感も高い。「曲木(まげき)」から着想したウッド調加飾やパイピング加飾を随所に配し、心地よい上質感を演出している。
乗り心地も絶妙だ。高剛性ボディと、徹底的な走り込みによる前後のサスペンションジオメトリの最適化によって、重厚感としなやかさを併せもっている。また、吸遮音材と制振材が、より効果を発揮するように配置されているほか、高遮音ガラスを採用するなど、徹底したNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)対策が施されている。
SUVを購入される方のなかには、SUVでオフロードを走ることに憧れをもつ人もいるだろうが、実際に走るのは、国内では95%がオンロードだ。ハリアーのようなオンロード寄りのSUVの方が、日本人のライフスタイルにはあっている。
現行ハリアーのボディサイズは、4740×1855×1660(全長×全幅×全高)mmと、先代ハリアー(4725×1835×1690)と比べ、ほんのちょっと大きくなっているのだが、実物を目の前にすると、割とコンパクトに感じる。日本でヒットさせる場合、どうしてもボディの大きさは脳裏に引っ掛かるところだが、この大きすぎない、ちょうどよいサイズ感に収まったことで、より多くの方に受け入れられることになったのだろう。
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