私たちが普段日常で利用している鉄道。これらには当然、全車両に自動車と同じように車両の検査の義務が定められている。
膨大な車両の数がある鉄道車両だが、私たちが安全に利用するため鉄道ではどんな検査があるのかお伝えする。
文、写真/成田颯一
【画像ギャラリー】ダイヤの合間をぬって車両検査!! 電車の車検は規模も移動も大スケール!!
■鉄道の検査は種類もさまざま
鉄道車両の検査については、法令でも細かく定められている。車両の種類や走行距離などによっても異なるが、一般的な在来線の場合は2日〜6日の間隔で、自動車の日常点検にあたる、台車や、ブレーキ、車両の状態を確認する列車検査が行われる。
さらに詳細な検査は、車両基地などで月1回または走行距離によって行われる交番検査がある。そして、自動車の車検にあたる全般検査では、装置を取り外して細部までオーバーホールが行われる。
全般検査には車体を持ち上げるためのクレーンなど大規模な設備が必要となるため、各鉄道会社は沿線にメンテナンスや検査を行う施設を持っている。また、自社でこういった設備を持たない場合は、他社へ委託して実施する。
例えば、東京ディズニーランド内を運行しているディズニリゾートラインでは、検査を京成電鉄の車両基地に搬出して実施している。
JRの場合、全国各地にいくつか施設を保有しており、首都圏では東京総合車両センター、大宮駅に隣接する大宮車両センターなどの拠点施設で検査が実施されている。
客車や機関車の大規模な検査は、東日本の場合、秋田県の土崎工場などで行われており、年に何回か首都圏から機関車が牽引し搬入していて、検査や整備のために搬入されることを「入場」、検査を終了して戻ってくることは「出場」と呼ばれている。
こうした車両工場には年に何回かイベントで見学できるチャンスがある。ぜひ調べて見てはいかがだろうか。
■膨大な車両数の検査はタイミングも難しい
例えば、山手線の真ん中を抜けて国分寺、立川、高尾と東京を東西に走る中央線。伝統のオレンジバーミリオンがイメージカラーとなっている路線だ。
中央線を走行する通勤型車両のE233系は、豊田駅に隣接する豊田車両センターに10両固定編成が43本430両、6両+4両編成が170両、途中で分割して青梅線、五日市線へ乗り入れる6両+4両の編成が92両の合計692両が所属し、日々走行している。
こうして数字でみると、検査する両数は膨大で、その組み合わせも複雑なことがよくわかる。中央線のE233系は、東は東京駅、西は富士急行線の河口湖駅まで運用しており、全ての車両が計画通りに運用をこなすことは難しい。
遅延や運休などで、運行区間が変わったりすることで、計画にズレも生じてくる。そんな中でも、それぞれの車両の検査期限内に、タイミングよく検査へ入れることが、簡単なことではないことがよくお分かりいただけるだろう。
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