クルマを購入する際、「残クレ(残価設定ローン)」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。
検討したユーザーだけでなく、実際に利用している人もいるはずだ。
「頭金が少なくても毎月の支払い額が抑えられて、何年か後に手放すか、乗り替えればいいか決める仕組みでしょ? 」
・・・という解釈はあながち間違ってはいない。もし、クルマの購入を考えているとしたら「残クレ」という購入方法が自分に合っているかどうか、改めて確認てもいいかもしれない。
そこで今回、ディーラー関係者からの証言を得て、残クレを組んで得する人、損する人の分岐点とは? という内容をまとめたみた。
自他ともに認めるクルマ好きはもちろんのこと、クルマが必要だけど、とにかく毎月の費用を抑えたいという方まで、何らかの形でお役にたてれば幸いだ。
文/松村透
写真/トヨタ、Adobe Stock
■そもそも「残クレ(残価設定ローン)」とは?
「残クレ(残価設定ローン)」とは車体価格から3年後、あるいは5年後などに予想される下取り価格を設定し、残価分を毎月返済していく仕組みだ。
通常のローンよりも毎月の支払い額が抑えられるため、本来の予算内では手が届かなかった車種も視野に入れて検討することができる。
たとえば商談中に担当セールスから「月々の返済額にあと数千円上乗せすれば、ワンランク上のアルファードも夢じゃないですよ!」と甘い言葉を投げかけられたら、ついつい「それならば思い切ってアルファードにしよう」と契約書にサインしてしまうユーザーがいても無理はない。
たしかに世間ではいろいろいわれている車種ではあるが、(好むと好まざるに関わらず)アルファードで移動したら至極快適であることは、ハイヤーやVIPの移動といった法人利用にこのクルマが使われている時点で想像がつくだろう。
あと少し予算を上乗せすればワンランク上のクルマに手が届きそう・・・。ましてや、向こう数年〜十数年は所有するケースが大半だと推察する。
さらに、世界的な半導体不足でクルマの生産が遅れているなか、たまたまアルファードであれば即納できるとなれば・・・多少無理してでも背伸びをしたくなる気持ちは理解できる。
また、最近ではスマートフォンも「残クレ」とほぼ同じ仕組みで購入する人が多いようだ。
iPhoneを例に挙げると、最新機種である「iPhone13シリーズ」の場合、NTT docomoの販売価格はもっとも安価なiPhone13で11万1672円(128GB)だ。
もっとも高価なiPhone 13 Pro Maxともなれば24万3144円(1TB)である(2021年10月時点)。iPhone13シリーズの場合、もっとも安いモデルを選んだとしても10万円オーバーなのだ。
いまや必須ツールとはいえ、いくらなんでも高すぎると考えている人が多いのではないだろうか(これに毎月の通信料が加算されるのだからなおさらだろう)。
スマートフォンの使用期間はクルマよりも短期間、数年前後という人がほとんどだろう。数年おきに機種変更をすれば、その都度、新品のノートパソコンを買っている感覚だ。つまり、安い買い物ではないことを意味する。
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