■残クレ(残価設定ローン)は「オープンエンド」と「クローズエンド」の2種類に分けられる
残クレを含めたクルマのリース商品は「オープンエンド」と「クローズエンド」の2種類に分けられる。それぞれのメリットとデメリットをまとめてみた。
●オープンエンド方式とは?
「ローン契約時に残価を明示して、契約期間終了後に査定額から残価の差額分を精算する方式」
○メリット:
・残価を高く設定できる(デメリットになる可能性あり)
・ローンの月額を低く抑えられる
・ローン契約終了後にクルマの買い取りが可能
○デメリット:
・契約期間終了後に査定額から残価の差額分を精算する可能性がある
・走行距離や傷の有無など、コンディション維持が求められる
●クローズエンド方式とは?
「ローン終了後の下取り額をローン会社等が保証してくれる方式」
○メリット:
・残価精算の可能性がない
・クルマのリセールバリューを気にせず乗れる
○デメリット:
・オープンエンドよりも残価設定が額低くなりがち
・オープンエンドよりローンの月額が高くなる
・ローン契約終了後、クルマの買い取りは不可
●注意点
○残クレの利用を考えている国内外のメーカーがどちらを採用しているか、セールスに要確認
○「オープンエンド」および「クローズエンド」とは呼称していない可能性大
○セールスがこの2つの仕組みをきちんと理解してないケースがある
残クレといっても、各メーカーが採用する方式によって、契約したユーザーの数年後の運命が大きく変わることもある。面倒かもしれないが、ここは運命の別れ道と自覚して、事前にきちんと確認しておいたほうがいいだろう。
■「残クレ(残価設定ローン)」を組む際に知っておくべきことは?
通常のローンよりも毎月の支払い額を安く抑えられてクルマを買うことができる・・・。
ユーザーにとってメリットがあるということは、そのウラでデメリットとなりうる条件が課せられていることはいうまでもない。
つまり「残クレ=他メーカーへの乗り替えのハードルが上がること」を知っておいて損はないと思う。
その理由として、5年のローンを組み、残クレで契約したクルマの場合を例に挙げてみる。
クルマをぶつけることなく、ある程度きれいな状態を維持しつつ乗り続けたとしよう。5年後の未来に訪れるのは「ローン完済」ではなく、下記に挙げた「主に4つの選択肢が待ち受けている」という事実だ。
●残クレの期間が満了した際、ユーザーの選択肢
・1.別のクルマに乗り替え
・2.クルマを返却
・3.残価を一括返済して買い取る(クローズエンド方式は買い取れない場合も)
・4.残価分に再度ローンを組んで乗り続ける
当然ながら、クルマを売る側の希望(狙い)は「1.別のクルマに乗り替え」一択だ。
しかもクルマの所有権はディーラーやクレジット会社が持っているので(ユーザーは「使用者」扱い)、契約期間の支払いを終えても自分のモノにはならない。自己所有にするにはローンをすべて完済し、名義変更をする必要がある。
さらに、何らかの事情で途中で手放そうにも所有権はディーラーやクレジット会社だ。ローンの残債をゼロにして名義変更(所有権解除)をしない限り、売ることすらできない。
車検の直前などのタイミングで「車検にとおすと○○万円かかります。いまなら***万円で下取りしますので、毎月の支払い額もそれほど変わりませんし、クルマも新しくなります。せっかくなのでこちらのモデルに乗り替えませんか? 」と営業トークを持ちかけてくる。
・・・と同時に「車検にとおすと○○万円かかるだけでなく、残クレの残債分を処理しなくてはなりません。場合によってはお客様にご負担いただくことになる可能性もあるかもしれません・・・」といったことを伝えるセールスもいるだろう。
例えば、残クレを利用して新車を購入した場合、数年後(大きなトラブルもなく無事に乗り切った場合に限った話だが)確実にこの種のやりとりをセールスと行うことになる。
つまり、残クレを利用してクルマを購入した場合、近未来に起こるであろうこの事実を踏まえておく必要があるということだ。
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