タイヤは、タイヤ専門店、カー用品店、インターネットショッピングなど、様々な場所で買うことができる。ディーラーもタイヤ購入ができる場所だが、いつものディーラーでタイヤを買うという方は、結構少ないのではないだろうか。
筆者がディーラー営業マンだった時代、担当オーナーにタイヤをおすすめすると、「他で買ったから」「ディーラーのタイヤは高いからいいよ」と断られることが多かった。タイヤは最も売りにくい商品の一つだったと思う。
本当にディーラーのタイヤは高いのだろうか。筆者の実体験を踏まえながら、ディーラーのタイヤ販売について解説する。
文/佐々木 亘、写真/日産、Adobe Stock
■量販店とディーラーのタイヤ取り扱いはココが違う!
11月から12月にかけて、積雪地ではスタッドレスタイヤの販売が盛んになる。ディーラーでも目標本数などを設け、タイヤ販売に力を入れる時期だ。
しかし、ディーラーではタイヤだけが単独で飛ぶように売れていくことは少ない。ほとんどが、車両販売に抱き合わせて販売している。
量販店とディーラーで、同一銘柄・同一サイズのタイヤ価格を比較すると、4本セットで数千円近く量販店の方が安くなるケースが多い。この価格差はどこから生まれるのだろうか。
その理由はタイヤの仕入れ数(在庫量)である。専売店や用品店では、大量のタイヤを在庫として抱える。大量仕入れのため、仕入れ価格は安く、その分ユーザーにも安価で提供できるのだ。
対してディーラーの場合はどうだろうか。部品共販店を通すものと直接タイヤメーカー系の小売店から仕入れる場合があるが、どちらにしてもディーラーがタイヤの在庫を大量に抱えることはない。
そのため仕入れ価格は量販店よりも高い。故にエンドユーザーへ届く金額も高くなってしまうのだ。こうした流通経路の違いが、タイヤ販売価格の差を生み出す。
■ディーラーでしか買えない?OEタイヤとは
ディーラーでタイヤを購入するメリットは、価格の面では少ないが、商品力という面では大いにある。その一つにOE(オリジナルエクイップメント)タイヤ、つまり新車装着タイヤの存在が挙げられるだろう。
例えば、ブリヂストンのポテンザやエコピアなど、市販タイヤに存在する銘柄でも、OEタイヤと市販タイヤでは、少し性能が違う。
OEタイヤは車種ごとに細かなチューニングが行われたタイヤであり、特にコンパウンドの配合が変わってくる。
コンパクトカーなどでは燃費重視のコンパウンドを配合し、スポーティカーではグリップ力を保ちながら、市販品より寿命が長くなるよう設計されるなど、車種の特性に応じて、タイヤの性能を細かく変化させているのだ。
車種ごとの特注タイヤなので、金額も相応のものとなるが、メーカーの認証が入ったタイヤなら、装着し続けたいと思うユーザーも多いのではないだろうか。OEタイヤをスムーズに入手するのは、新車を取扱うディーラーが最も適した購入場所になる。
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